「煙草の煙」泣き虫しょったんの奇跡 META坊さんの映画レビュー(感想・評価)
煙草の煙
何の取り柄もない将棋が好きな小学生が、プロ棋士を夢に見、奨励会に入会するもプロにはなれず、サラリーマンとして新たな道を歩むが、アマで名人になったのをきっかけに、制度の壁を超えてプロ棋士になった実話。
『しょったん』は本作の主人公、瀬川昌治のあだ名。
実はこの映画のことは全く知らず、予告編を見た記憶がない。
ともあれ、豪華俳優陣が多数出演していることもあり、軽い気持ちで鑑賞することに。
私自身は将棋は指さないし、そもそも将棋の事は詳しくもない。
プロ棋士といえば藤井七段や羽生名人、引退した加藤一二三名人ら数人しか知らない。
そんな私でも、じゅうぶん楽しめました。
特に盛り上がることもなく、良くも悪くも淡々と進んでいくのが、リアルで良かった。
最近は過度な演出を目にする事がが多いので、物足りなさを感じるかも知れないが、むしろ好印象だと言える。
街の将棋クラブのシーン。
喫煙率が高く室内は煙りがもうもうとしていて、こんな劣悪な環境で、大人に混じって子供が将棋を指していたとは、今では考えられないことだ。
将棋の世界を初めて垣間見たが、プロになるための奨励会には年齢制限があり、26歳までに四段に昇段しないと退会せざるを得ない。
その退会していく若者の一人を演じた、妻夫木のシーンが印象的たった。
地方ではトップクラスの少年達が、プロを夢見て入会しても、プロになれるのは僅か15%ほどらしい。
なんとも厳しい世界ではないか。
主人公瀬川を演じた松田龍平は、物静かで抑えた演技が良かったが、もっともっと内面に秘めた熱いものを、前面に出しても良かったかと思う。
冒頭の、松たか子演じる『若くて綺麗な先生』。
こんな先生だったら子供は頑張るね。
いや、大人だって頑張っちゃう。
この作品は若い子や、特に小中学生生とその親御さんに観て欲しいと思う。