「夢があって良いじゃない」泣き虫しょったんの奇跡 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
夢があって良いじゃない
パチンパチンと小気味よく響く駒音がずっと心地良かった。
将棋のルールも将棋界のしきたりも全く何も知らないしストーリーの予想も相当ついていたけど、ちょい役の藤原竜也と板尾創路を目当てに鑑賞。
監督が監督なので独特のテンポと描き方は承知の上。
小学生の時の作文で「しょく業」なのに「将棋」なのがとてもグッときた。
瀬川と鈴木の自転車の追い抜き合いのシーンが好き。
次々現れては消えていく瀬川の周りの人物たちがみんな優しくてほっこり。細かなポイントでちょいちょい胸打たれること多し。
ただ正直、良い人になりすぎて胡散臭い演技に思えてしまうことも。
主人公含め、人物描写が希薄なのでどうしても薄っぺらく感じるのは仕方ないのかな。
淡々と勝ったり負けたりしていく瀬川晶司の凄さや才能を感じさせるものがなく、周りの人の反応が不釣合いに思えたり彼を応援したいという気にあまりならず最後の感動も薄かったのが残念。
将棋が分かる人なら試合シーンはよりスリリングに、瀬川により感情移入できるのかもしれない。
鑑賞後、瀬川晶司について軽く調べてみた。
アマの時に羽生善治氏と対局していたり、瀬川がプロになった翌々年に将棋界に正式なプロ編入制度が決まったりと胸熱なエピソードがチラホラ出てきた。
そういうの少しでも差し込んで欲しかった。見逃していただけかもしれないけど。
唐突に5秒ほどねじ込まれた藤原竜也に笑った。贅沢な使い方だな。
普通の人だったしょったんにファンが付くという、印象的なシーンだった。
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