ガラスの城の約束のレビュー・感想・評価
全9件を表示
負の遺産、だと思っていたもの
「ショート・ターム」が凄く良かったので、ブリー・ラーソン&デスティン・ダニエル・クレットンというタッグに惹かれて鑑賞。
「アメリカ社会が抱える問題」+「登場人物の内面描写」+「自己肯定的な成長」という物語構成は健在。最後の「自己肯定的な成長」っていうのがポイントで、エンディングの爽やかな高揚感に繋がっていく。だから好き。
バッチリメイクにスーツ姿のブリー・ラーソンはとても新鮮。キリッとした姿が似合うけど、良い家に住み、濃い化粧をし、高価そうなスーツに身を固めた姿はヴァイオレットの「見せたい自分」という虚構の姿。
彼女が知り合って間もない人に語る「家族」は偽りの「家族」だ。特に父親・レックスについては「本当のこと」を語ろうとしない。帰りがけ、婚約者に「嘘は私に任せて」と微笑むヴァイオレットは寂しそうでもある。
虚構の父親は生産的な仕事に就かされていたが、本物はどうか。レックスはほとんど仕事に就いていない「自由奔放」「豪放磊落」な人物だ。
「行き着いたところが家」みたいな暮らし。子ども3人を連れて、野宿もする。
母親・ローズマリーは画家で、家事よりも創作が大事。「自由」な両親は子どもを愛しているが、生活力はゼロだ。二人は大人で、自分達が選びとった「暮らし」だが、子どもたちにとっては強制された「自由」。借金取りに追われてレックスの故郷・ウェルチに戻ったことがきっかけとなり、ヴァイオレットは親の抱える問題と、自分の求める世界に向き合うことになる。
父親であるレックスを演じたウディ・ハレルソンが最高に良い。
レックスもヴァイオレットと同じように、親の与えた環境から抜け出そうともがき、志半ばで生まれた場所に戻らざるをえなくなる。
彼の故郷はヒルビリーの集落だ。世間から忘れ去られたような、アウトローな集落。独特の価値観を共有し、近代化とは別の次元で生きている人たち。
レックスもヴァイオレットと同じように、親から与えられた環境に反旗を翻した。レックスの知性は自然を愛しながらも、教育への興味や人間のあり方の多様性を求めたからだ。
先進国アメリカでも、親の教育方針によって学校に行かせてもらえないことはある。神を冒涜する科学の拒否とか、理由は色々だ。
故郷に戻った後に、ヴァイオレットたちが学校に通っている描写があるので、学校自体はあるみたいだが、全員が通っているかは疑問である。
そんな状況に「No!」を突きつけ、放浪の道を選んだレックスだが、親に与えられたことの全てから逃れられず、破滅的な生き方をするしかなかった。
レックスに一番似ていたヴァイオレットは、レックスと同じようにもがき、遂にはレックスが成し得なかった「破滅ではない脱出」に成功する愛娘なのである。
父親が捨てきれなかったもの。父親が求めたもの。一番父親に似ているからこそ、一番反発し、一番共感した。
エンディングで笑うヴァイオレットの表情に、もう寂しさや自分を飾る虚構はない。
最低で最高の父からプレゼントされた思い出は、少し顔を上げればいつでも輝いている。
主役はヴァイオレットだけど、レックスの人生にどうしても思いを馳せてしまうなぁ。繰り返しになっちゃうけど、本当にウディ・ハレルソンが最高だったんだもん。
実話ベースな上に書いたご本人が健在なので、目を瞠るようなドラマチックな演出に欠けるところがちょっと残念。
でも、また新作が出たら観たい監督の一人だ。
恵まれてる!?
って実話ベースでラスト本人が言うなら、そうなんだろう。。しかし、映画が始まってから、ずっと苦しくて、いつかどんでん返しが来るだろうと見ていたが、ラスト15分迄は中々来なかった。父親だけでなく、両親共に糞親。父親も祖母の影響があるかも知れないが、祖母も糞親だった。定職に就けず、酒浸り、家には金を入れず、子供に食べさせる物も与えないし、学校にも通わせず、夢ばかり語り、たまには良いことを言うが、実行力が伴いわない。母親も父親に頼り、趣味の絵ばかり書いている。こんな人達は子供を産んではいけない。しかも四人も。子供は親を選べない。こういう子こそ、ちょっとの事で親への感謝を忘れず、親孝行するのだろう。ウッディ・ハレルソンは口は達者で傲慢で、荒くれ者がよく似合う。最後は父親が奨学金を出してくれたり、子供の頃の想い出話はあったけど、やっぱりできた子供だと、よくぞ育ったいう思いだった。
許さないという選択も描いてほしい。
ショートタームの監督&主演の再タッグということで、見てきました。
ブリーラーソン、ウディハレルソン、ナオミワッツと好みの役者が揃ってます。
全体的にはよかったですよ。
父親が破綻しているのは恐らく母親からの性的虐待と徹底的な人格否定による支配構造、なのかなぁと読みました。
腕力では確実に勝てる母に大人になっても逆らえない息子、というのは、本当に辛いだろうと思います。
なんですが、そのツケを次世代に払わせるってのは、私は許せないです。
実質的なネグレクト状態の中、子供たちが主体的に生活を切り回し、独立しようとする事を、受け入れられないって、どんな親よ。本当に死んでくれと、思いました。
透明な豚さんが空っぽにされた時に、明確な殺意を覚えました。
より幼い頃の楽しかった思い出、優しい父の記憶、それがなんだっての。学費の不足分950ドル?(9500?95000?金額うろ覚え…950なわけないか…)それがなに?そんなん親なら当たり前でしょうが。
ジャネットに、許さなくてもいいんだよと私はずっと思っていました。でもジャネットは許す事を選びました。
その選択を批判する権利はわたしにはありません。
死の床につく父との和解(?)シーンは、堪えきれず涙が落ちました。
ジャネットにとっては、最善の選択だったんだろうと思います。
だだ、親を許さないまま、晴れやかに自立した子どもの物語をわたしはもっと見たいです。そっちの物語のほうが、絶対求められてるとも思います。でも数は全然少ない。思い出せへんもん。
子供が親の罪を許す必要はないって、もっと物語ってほしい。でないと親にひどい事をされて苦しみながら生きているたくさんの人が、やっぱ親許すべきなん?ってゆう世間の圧力感じてさらに傷つくでしょう。そんなんおかしいやん。
とまぁ、良い映画でしたが、反発も覚えたということです。
こんなに過酷な育ち方しなくても、家族の愛は学べる
自分の親と比べてみてしまうところがあった。
良くしてもらったけど、不満や恨みごともある。
経済的にも十分、ふつうには育ててくれたってとこだけ比べて感謝を感じてた。
いろいろあったけど、家族っていいなっていうところで終わってるんだが、主人公は育ての親とは和解し絆を深めることはできたものの、自分が新しい家族とは別れてしまって、結局は一人。おそらくは育ての親が原因で。
シュールだなと感じた。
親がクズ過ぎて
主人公の父親は、いつもガラスの城の設計図を娘たちに見せながら夢ばかり語っている。アル中で児童虐待、妻にはDV。自称画家の母親も毒親、ご飯はいつでも食べられるけど芸術は待ってくれない、みたいなこと言って子どもの世話もせず描き続ける。空腹に耐えられなく子どもが飯作りをし出すと、母親は自分の分もちゃっかり娘に作らせる。椅子に乗って調理する娘、火ダルマに。大ヤケドして入院、医療費踏み倒し逃亡。こんな感じで借金取りから逃げる日常で子どもは学校にも通えない。子どもが学校行きたいと言うと、荒野に連れて行く。学校よりずっと学べるとか言って。子どもが密かに家脱出用資金を貯めてたら、見つけた父親は全部飲んじゃう。城を建てるんだと言って掘った穴は、いつしかゴミ捨て場として使っていた。それでも負けず勉強してクズ親から逃れ売れっ子ゴシップライターになってマトモな生活をしていた娘。恋人とハイソな部屋で暮らしているけど、なぜか、いつまでも衣類はスーツケースの中。で、結局、自分らしく生きるため、娘はマトモな恋人と別れ、クズ家族を取る話。クズ親にイラつきながらも、クズっぷりが楽しみになって最後まで飽きないで見られた。
家族という名の呪縛と、愛。
1ミリでも愛された記憶があったら、父親の元へ駆けつけることができるのだろうか。
あんなに逃げ出したくて、酷くて、酷すぎて、愛に溢れていた場所。
どうやっても、どこの国でも、どの時代でも、絶対に家族というコミュニティから逃げられないんだと突きつけられます。
でも、辛くても兄弟姉妹が仲良く、ジャネットが強くて賢かったのが救い。
ただの虐待映画ではなくて良かったです。
北の国から・・・ではない
観る前は「北の国から」海外版を予想していたが、吾郎さんは酒びたりではない。後半のシーンで、父親(実在)はダメ親父だけど、そのDNAは子ども達に引き継がれていることがわかった映画。ナオミ・ワッツは綺麗だけどふけたな(当たり前か)。
全9件を表示