「黒人が置かれている状況をどう見るか」デトロイト トコマトマトさんの映画レビュー(感想・評価)
黒人が置かれている状況をどう見るか
「ムーンライト」「ドリーム」「ゲットアウト」…と昨年来、黒人が主人公の映画を何本か見てきた。
本作も、その意味で興味を持って封切り間もなくの新宿の映画館に足を運んだ。
日曜の2回目の上映だからか、満員札止め。有名スターが出ている娯楽作でもないのに…。本来なら、シャンテシネあたりでひっそり上映するような映画だろうに。
そもそも、1967年のデトロイト暴動など知らなかったが、50年前のアメリカ…いや、21世紀のアメリカも程度の差はあっても、白人の黒人に向ける目、意識は同じだろう。
で、見終わって、監督が白人女性、「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビクローであるのを知った。
監督はおそらく白人だろうとは思っていたが、案の定である。
白人警官のねじ曲がった職務姿勢はよく描かれていたし、後半で傷ついた黒人を助ける白人警官の姿もしっかり描いていた。
うまくバランスを取って、白人VS黒人の図式を描いてはいる。
ただ、事実をうまくそしゃくし、50年後の現代に形にしたのは立派な仕事かもしれないが、人間が描かれてないのだ。
主人公の1人である黒人警備員の内面とか…。
敢えて描かなかった、ヒューマンストリーにしたくなかった、ということでもあるんだろうが、映画的にはそこに「感動」させるものがほしかった。
それゆえに、★2つ。特段現代アメリカ史に興味がある人以外はわざわざ見るほどのものではないね。
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