ライオンは今夜死ぬのレビュー・感想・評価
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大俳優でありながら、未だ純真無垢な子供のような稀有な存在
ジャン・ピエール=レオの代表作を見て臨んだ方が本作をじっくりと楽しめるのかもしれない。とりわけ『大人は判ってくれない』などの少年時代の彼は、本作における少年少女たちと姿とも重なるかのようで微笑ましい。御歳70を超えた彼は、大俳優でありながら、時に子供達と並んでも遜色のない純真無垢な存在に思えたりもする。
「映画内映画」の撮影に取り組み、亡き恋人と再会し、時に呆然と佇んだり、虚ろな表情で道を彷徨い、さらには狂人のような態度で子供達にリンゴを投げつける。そんなあらゆる精神状態を一つの肉体にて整合性を持って表現し得ている点はさすがというほかない。序盤、演技について思い悩んでいた彼は、子供達との映画撮影を通じて、最終的に「これだ」と思う答えを見つけ得たのだろう。死、愛、人生、演技、そして映画。様々なテーマは一つに溶け合い、やがて言葉を超えた至高の境地へ。街角をゆっくり横切る動物にその象徴を見た。
子どもたちの自然な佇まいが素晴らしい
ヌーヴェルヴァーグ好きの諏訪敦彦監督にとって、ジャン=ピエール・レオーはアイドル的存在。そんなジャン=ピエール・レオーを主演に迎えた、監督にとっては念願の叶った一作だろう。
いつも通りの即興演出だが、撮影監督トム・アラリの美しい映像美が普段の諏訪映画にない彩りを加えている。
おそらくジャン=ピエール・レオーのことなどよく知らないであろう年代の少年少女たちが実に輝いている。かつての大スター、ジャンが自主映画を作ろうとしている子どもたちに出会い、映画を作る喜びを再発見する。その映画の内容は実にくだらないホラーなのだが、ジャンは美しいとこぼすように語るのが印象的だ。そこには打算も計算もなく、純粋に撮りたいものだけを撮る喜びに満ちている。大スター以上にこの映画の華となっているのは紛れもなく子どもたちであり、こういう自然な佇まいを引き出せる監督の演出力は見事。
子供に戻って
カメラが私好みで美しかったです。高齢になったら、子供の時の感性に戻って子供達や動物達と過ごしたいですね。子供の友達が沢山できたりして。そして、子供に戻ってから死ぬなんて、最高じゃないですか。大人になってから、置いてきたもの沢山あるから。
ジャン=ピエール・レオ
老優(ジャン=ピエール・レオ)は死ぬ演技が上手くいかず、撮影が延期になったのを利用して、昔の恋人に会いに行く。
恋人は昔のままで若かった。
ファンタジーだがトリュフォー作品でおなじみのジャン=ピエール・レオを楽しむ感じかな。
美しいコートダジュール
スパイラルで諏訪監督の講座を聞いたことをきっかけに鑑賞。
フランス映画は退屈してしまうことが多いけど、本作はコートダジュールの景色やジャン・ピエールと子供たちの協奏が美しく、何かとてもいいものを見たような気持ちになった。
子供たちの撮影した映画の完成バージョンも講座の中で見せて頂いたが、本当に自由で面白い。音楽の著作権の関係で、公開が難しいと仰っていたけど、DVDの特典映像か何かで、多くの人の目に触れて欲しい。
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