「言葉に救われた者にしか分からない、が」博士と狂人 古元素さんの映画レビュー(感想・評価)
言葉に救われた者にしか分からない、が
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作中に登場したように「言葉は生きている」し、「脳は空よりも広い」し、「読書をしている時間は何者にも追われない。自らを追う」と思う。
この作品は二人の博士を中心に紡がれている。しかし私は、その二人を献身的に支える女性に魅了された。初めは文語を持たずただパートナーの死にうちひしがれていたものの、時の流れと共にマイナーによって言葉を教えられたことで、強く美しい女性へと変わっていったイライザ。「愛が呼ぶものは愛」失ったものをいつまでも追い続けない強さが見られる言葉となった。ロンドンでの安定した生活を捨てる勇気をパートナーと共にし、辞書編纂を始める際は「今から迷いを捨てて」と言葉をかけるエイダ。この二人の存在はとても大きかったように思えた。
評価を2.5にしている理由は、終わり方でたる。最後まで完成させて終わるのかと思いきや、Aの完成の時点で盛り上がる編纂者たち。最後にはマレーとマイナーの別れやマイナーの釈放を持ってきていた。今作品を人間ドラマだと考えるのであれば良いが、言葉の存在や歴史について着目していたと思っていた私としては疑問が残るものとなった。
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