「言葉の翼があれば自由になれる」博士と狂人 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉の翼があれば自由になれる
日本国語大辞典の刊行が始まったのは1972年、その1世紀近く前に大英帝国ではオックスフォード英語大辞典の刊行が開始された。この英語大辞典、通称OEDと呼ぶらしいが、殺人犯が関わっているとの予告編を見てからすごく興味がわいた。しかも問題児のメル・ギブソンとショーン・ペンが共演するというんだから見逃すわけにいかない。
原題がprofessor になっているのにどうして博士なんだろうと思ったらマレーは学位を持っていなかったんだね。学位を持っていなくたって精通している言語の数がすごい。十数言語以上理解できるんだからとんでもない才能で、フランス語など他の言語由来の単語が多い英語の辞書編纂者にはうってつけ。
異色の言語学者と殺人犯の奇妙な友情の物語と思っていたら、殺人犯マイナーの贖罪の物語でもあった。
マイナーがアメリカ北軍の軍医として従軍しているときに悲惨な事件があり、精神がおかしくなったらしい。その後、イギリスに渡り、アイルランド人に襲われるという強迫観念のせいで通りがかった男性を射殺してしまう。が、マイナーは、刑務所ではなく、精神病院に収容される。
この男性には、5人の子供と妻がおり、マイナーは自分の罪の重さに向き合い、残された家族に対する経済的な支援を申し出る。ここから先の話は、出来すぎているから、映画用の脚色かも。
メル・ギブソンは辞書編纂に人生を賭けている言語学者を見事に演じていたし、ショーン・ペンはそれを上回る鬼気迫る演技で圧倒された。この2人だから逆でもよかったのかも。
いろいろなエピソードがあって、興味がそそられたし、英国人らしいウィットに富んだリベンジも鮮やか。チャーチル裁きもこれまたキレイに決まって見事なフィニッシュ。
「言葉の翼があれば自由になれる」この言葉は響いたな。教育は未来へのパスポートであることを再認識した。
とても面白かった。
おはようございます。
"「言葉の翼があれば自由になれる」この言葉は響いたな。教育は未来へのパスポートであることを再認識した。"
全く、同感です。
今作は、わざわざ雨の中、私の居住区から”大都会”まで足を運んだのですが、久しぶりに深い余韻を堪能した映画でした。
では、又。返信不要です。