配信開始日 2017年9月15日

「主人公に感情移入できなかった」最初に父が殺された GreenTさんの映画レビュー(感想・評価)

主人公に感情移入できなかった

2018年3月13日
PCから投稿

アンジェリーナ・ジョリーのようなわかりやすい「ビッチ」は攻撃しやすいので否定的になりたくはなかったのだが、やはりこの人のヒューマニズムはお金持ちから見たヒューマニティなのかなあと感じた。「無力な小さい子供にとって戦争とはこういうものだ」ということを表現したかったのではと思うが、山の手のお嬢様だった主人公が「辛い、悲しい」と言っているのを観て逆に引いてしまった。灰色の殺伐とした生活の中で主人公の少女は、原理共産主義のクメール・ルージュに取り上げられた赤いドレスやお化粧をする母親に思いを馳せるのだが、そもそもクメール・ルージュが頑なにそういうものを否定するのは、少女の一家のような「金持ち」だけが富を独占し、大多数の国民はそれを持っていなかったからじゃないか、という風に見える。だから、平和な生活を懐かしんでばかりの少女より、贅沢を諦めてでも戦おうとする、二十歳にも満たないクメール・ルージュの女子兵士の方が、色んなものを捨てて、色んな痛みを感じてきたのではないかと、そちらに感情移入してしまった。

GreenT