「貴方の腕の中よりもここは暖かい」ゆれる人魚 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
貴方の腕の中よりもここは暖かい
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珍しいホラーファンタジックのポーランド映画。ポーランド語自体も全く皆無なので、姉妹の名前である、『ゴールデン』『シルバー』が台詞と字幕の差違の大きさに、何かまるで他の惑星の住人の言葉のように思えてくる、そんな遠いところに連れて行かれる印象である。
アバンタイトルでは川岸で男がギターを弾きながら歌を歌って、川から現われた二人の人魚のデュエットが奏でる綺麗で怪しい曲調が否応なしにゾワゾワ感を駆り立てる所からスタートするのだが、そこからほぼノンストップで音楽劇へ突入する。まさかミュージカル仕立ての作品だとは知らなかったので、いつこの構成が終わるのかと思ったが、後半までそれが続くのである。ナイトクラブが舞台のシーンが多いのでその舞台での歌謡がメインになってしまうのは仕方ないのだが、もう少し姉妹のやり取りや感情の表現を丁寧に描いて欲しかった。場面展開や、シークエンスの転換も一寸雑さが垣間見え、ストーリーの連続性が難解になってしまった。とはいえ、長編作品は初めてという監督なのだから、のびしろも又期待できる作品でもある。チープな中にもどことなく東欧っぽい神秘感も溢れているし、ニューロマンティック、ロック、パンク、ヨーロッパ民謡等の多彩な音楽も又、少しづつ音階やコード進行の新鮮さが興味深く愉しませてくれる。何より、主演二人のヌードの美しさやロリータ性は、東欧美女好きの日本人には生唾ものであろう。思っているよりもホラー要素は前面には出てこないので、もう少しスパイスがあっても良いかなとは思うのだが。
いずれにせよ、才能の片鱗をみせて頂いた作品である。『穴がない』っていうのはとんちが効いていて面白かったw
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