「純文学よりミステリー。」去年の冬、きみと別れ mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
純文学よりミステリー。
2018年初頭、中村文則原作の映画化が相次いだ。その2本目である。
フリーライター耶雲(岩田剛典)は、気鋭の写真家木原坂雄大(斎藤工)に密着取材を試みる。木原坂には過去に放火殺人の疑いをかけられて、殺人の罪は免れたが執行猶予つきの判決を受けた過去がある。
木原坂のなんともいいようのないモンスターぶりが、映画のトーンを決めてしまっていて、そういう意味では斎藤工の役割は大きい。
瀧本智行監督の作り出した湿った画面が効果的である。
「悪と仮面のルール」は小説でないと表現できないものがあって、そこが未消化だったが、本作は映画らしい編集で、おそらくは原作のエッセンスを汲んだものになったと思われる。
岩田剛典も好演であった。映像の仕事が増えてきているのも納得である。
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