「いちばん狂っているのは・・・」去年の冬、きみと別れ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
いちばん狂っているのは・・・
まずはじめに、芥川龍之介「地獄変」の絵師良秀を、写真家木原坂(斎藤工)に見立てている。たしかに良秀は、わが娘が焼け死ぬの目の当たりにしながら地獄絵を書き終えた狂人だ。このまま木原坂の狂気がどこまでエスカレートするのか、・・・。いやいや、そう観客が想像できるようでは陳腐なのだ。そう思わせておいて、なるほどそういう「罠」を仕掛けておいたのか。
ずっと、なぜこのタイトルなのか、ときたま挿し込まれる冬の海辺はなんなのか、それがある時にぐらりと気持ちを揺さぶられように気付かされる。誰とは言わぬが、ある人物の急変ぶりに驚かされる。いや本人はもともとそのつもりだったのだが。
青空文庫でも「地獄変」は読めるので、ぜひご一読を。
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