「楽しめない…」去年の冬、きみと別れ トコマトマトさんの映画レビュー(感想・評価)
楽しめない…
封切り前に鑑賞。
原作は芥川賞作家、中村文則の同名小説。
何年か前にこの男の、受賞作「土の中の子供」を読んだとき、ハァ? これが芥川賞?
と驚いたことがある。
映画は別物だし、映画としてもちろん見るべきだが…。
で、本作。
2時間のうち、前半1時間は結構退屈。
後半で、ミステリー部分の謎解きがスピードアップして、ん?と関心をひくものの、こんな猟奇的な殺人をネタにする芥川賞作家なんておるんかい?
純文学って、もっと人間の奥底の心性を描くもんだろ。
なーんか、全体に安っぽい。
そんな印象を映画に重ねながら見てしまった。
北村一輝もいい役者なのに、こんなのに出なくていいのになぁ。
もちろん映画としてのデキは別掲のとおり。おすすめしません。
ひょっとして、原作はもっと「文学的」でいいのではないか。
と一応、図書館で借りてチェックした。
が、やはり安っぽさは同じ。
アマゾンの批評に「ミステリーとしても駄作。時間の無駄」とあったので、4分の1ほど読んでやめた。
映画も、時間の無駄に近いレベルだろう。
劇中、金沢が舞台の一部になってたけど、そこに登場する人間が標準語でしゃべってた。
僕の過去のレビューにも書いてるけど、地方が舞台なら、ちょっとは方言をしゃべらせろっていうの!!
どうして、そういうのっぺりとした人物造形するのかね?
それだけで、監督はじめ、制作サイドの手抜きを感じる。
中村文則さん、貴方には合わないのかもしれませんが、純文学としてもとても興味深い小説を数々書いていらっしゃいます。
時間の無駄かどうかは、受け取り方や受け取る人によって違うと思いますが、貴方に合わないのはともかく、作品そのものを否定するのは違うと思います。
生意気言って申し訳ありません、私は中村さんの小説が人生の救いとなりました。