「積み込みすぎ満載ではあっても。」友罪 れいすけさんの映画レビュー(感想・評価)
積み込みすぎ満載ではあっても。
中心となっていた少年Aが幼児を殺害するテーマは、2011年放映ドラマ「それでも生きていく」でも描かれたテーマだった。
あのドラマでは被害者家族役だった瑛太がこの映画では加害者の役柄であった。7年後に逆の立場を演じる気持ちを察するがどんな心境だったろう。
このドラマは加害者の少年Aこと鈴木(瑛太)と、程度の差はあるものの、学生時代に友人の自殺を見殺しにしてしまったという罪を抱えた益田(生田斗真)が、町工場で知り合い共に働き同じ寮に住み、次第に友人となり、お互いの気持ちを少しずつ伝えあっていくところの「友情」もテーマになっていた。
ただ、複雑なのは、同時進行で、交通事故で複数の子供を殺した加害者の息子を持つ家族の苦悩(タクシー運転手の佐藤浩市ら)を描き、さらには、少年Aと少年施設で関わったの富田靖子の娘との家族関係も描いていた。また少年Aに助けられ恋をする女性(夏帆)はアダルトビデオに出演し逃げ親や実家近所に映像をばらまかれた過去があり、さらにつきまとわれ、レイプまでされてしまう(僕は正直レイプシーンだけは、いちばん見たくなくて、そのシーンいるのかなと思ってしまう)、いろんな重い内容が詰め込まれていてなんかなあ。映画の枠としては、ちょっと詰め込みすぎである。
テーマがもともと重いのに重すぎ重量オーバーである感がいなめない。
益田と鈴木の2人の関係性を深く濃く描いたほうがシンプルで良かったのではないかなと思いますね。
加害者も被害者も大変。被害者は一生、憎しみや、悲しみ、喪失感にとらわれた人生を送り苦しむし、加害者は罪を一生償い生きていかないといけない。その家族もである。しかし加害者とて更生して、幸せになる権利はある。鈴木の苦悩もよく表現されていました。
益田は純粋に大切な友人の鈴木を理解したくて、少年Aの事件を探り出したが、益田の彼女?彼女の上司?がカラオケ店での写真を雑誌に掲載、勝手に流出させた。怒った益田に対して「みんなが知りたがっていることは伝えなければならない」とか言い放つ。ふざけんなよ、なめんなよである。
益田と鈴木の気持ちを踏みにじっておいて何様なんだよ、罪を償って一生懸命に生きている人間をいつまで、さらし者にするのか。そんな情報なんて私なんかは、全く必要としない。読者が求めているとするなら、興味本位であり、そんなのは、知る権利とは言わない。履き違えている。そして夏帆も離れて行く。鈴木は寮を出る。
ラストシーンは、しかし良かった。
益田が、最後に鈴木に対してメッセージをホームページに載せるとともに、語り始める。過去の学生時代にたすけられなかった友人について真相を告白する。そして、けじめをつけるために自殺現場に赴き、号泣しながら叫ぶシーン。涙が溢れた。益田は純粋な友人想いの優しい人間である。しかし友人の学が死を決意し、助けを求めたとき、送った最後の言葉は「勝手にすれば」だった。それは後悔しますね。
そして、益田が振り向いた時に、そこには鈴木がいた。最後の手紙の鈴木に対する言葉は「生きていて欲しい。友達だから」
だ。なんだかんだ最後に救いがある、
だから、いい映画なんです。