「少年A」友罪 M hobbyさんの映画レビュー(感想・評価)
少年A
とても難しいテーマや、題材を基に作られている作品のため、観るのをどうしようか悩んでみました。
原作を読んではいないため、他の方のレビューを見る限り、読まずに映画だけ観て正解でした。(原作のファンの方は大概が評価が低いため)
犯罪者へ対する同情の気持ちは普段から持たない私ですが、この映画を通して少し学べた気がしました。
これはあくまでも映画であって、エンターテイメントの世界の話なので、実際にはたくさんいる元犯罪者達が、事件後にどのように更生したり、気持ちを病んだり、悔いたり、大して何も感じていないか、もしくは忘れて普通に生活しているか分かりません。
ただ、この作品に描かれた瑛太さんが演じる元犯罪者の少年Aや、斗真くんが演じる益田のような犯罪に加担した人間ではない、その他の登場人物たちにより印象が強く残りました。
少年Aと呼ばれた鈴木くんをボコボコに殴る人間や、暴力で女性を支配する男。母親の愛情に飢えた娘。
鈴木くんの犯罪歴を知って避けてしまう女性。
人の人生をネタにして、雑誌を書くメディア。
加害者の家族や、被害者の遺族。
犯罪は犯してはいないものの、自分の弱さ、利益を理由に人を傷つける。(忍成くんの役は完全に犯罪者ですが)
この映画の中で強い人間は誰1人描かれていないことが、一番印象的だったなと思います。
強いて言えば、病気で亡くなってしまう、学くんのお母さんだけが唯一、強い人間のように感じました。
決して自分が侵した罪は償うことができないと言う少年Aが言う、「だからもうやめた」といった言葉。
これはどっちの意味だったのかな。殺人を二度としないと言う意味なのか、それとも、自分自身を殺めようと思う気持ちのことなのか。
人の命は一度奪ってしまうと二度と戻ってこない。
想像してみよう。看守の言葉が印象的だったな。
世の中から1人でも多くの人が傷付かずに、人を傷つけずに生きられる世の中になって欲しいなと強く思いました。
瑛太さん、斗真くんの演技は素晴らしかったですね。