「少年Aは今どうしているのか?」友罪 ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)
少年Aは今どうしているのか?
暗く暗く苦しい…。
まるで、深い闇の底を見ているような感覚でした。
登場する人は、過去にくらい闇を抱えている人達ばかり。
彼らはなぜここまで闇抱えて生きているのか。
疑問を解消するには、彼らの底なしの深い闇を覗き見るしかありません。
数々の殺人を犯した少年Aは、今何を思い生きているのか?
犯罪者の弟として生きる、元ジャーナリストの生き様。
交通事故により、幼い子どもの命を殺めてしまった男の父親の孤独な苦しみ。
生きる希望もなく彼氏の暴力に耐え続ける女。
この映画に登場する誰もが、過去に縛られながら生きているのです。
一度は人生を捨てた人間たち。
罪を償うために生きる男たち。
そこには、幸せも喜びも嬉しさも、禁止された絶望というなの孤独だけが存在しているように思いました。
深い深い底なしの沼の底には、希望の光なんて微塵もありません。
「希望」なんて淡い期待を抱くだけ、裏切られるだけ…。
喜び幸せなんて言葉を口にすることは、もう二度とないのかもしれません。
そんな悲しみのどん底に生きる彼らの姿をひたすらに追いかける2時間…。
救済も希望もない絶望的な状況の中、唯一感じられた感が一つだけありました。
それは「愛」するということ。
友を愛する事。
家族を愛する事。
恋人を愛する事。
妻を愛する事。
狂わされた人生でも、過去の罪を背負っていても、大切な人を愛したいという気持ちがあるなら。
信じられる愛があるなら、犯罪者も、被害者も、孤独から脱却できたら、もう一度人生をやり直すことが出来るかもしれません。
頼れる存在、愛する存在、掛け替えのない存在。
大切な存在を見つけられた時、止まっていた時が動き出す瞬間が訪れると信じています。
実際の少年Aは、何を思いこの世に生き続けているのでしょうか?
この映画のように、友達と笑って歌っているのだとしたら…。
それは、許されるのでしょうか?
ずっと罪を背負って生きていてほしいと思う自分もいますし、更生して少しでも世のため人もために生きてほしい気持ちもあります。
少しでも罪の意識があるなら、被害者遺族のために、生きてほしいと願います。