「月曜日はお風呂を焚いて、火曜日はお風呂に入る♪」セブン・シスターズ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
月曜日はお風呂を焚いて、火曜日はお風呂に入る♪
月曜日に何が起こったんだ?という原題が目に飛び込んできて、俄然推理力を働かせようとするも、誰が何曜日だかさっぱりわからない状況。ノオミ・ラパスが1人7役を演ずるという特異な設定であるものの、それぞれ優等生、ヒッピー、反逆者、天才エンジニア、パーティガールなどとといったバラバラな個性を持ち合わせているらしく、髪型によっても徐々に区別がついていき、『おそ松くん』よりはわかりやすい多生児となっている。
7つ子を産んですぐに両親は死亡したため、祖父であるテレンス・セットマン(ウィレム・デフォー)が育てることを決意。「命名もするんですよね?」「決まっておる。月曜、火曜、水曜、木曜、金曜、土曜、そして日曜じゃ」などと、短絡的な祖父であったが、人口過剰+食糧不足となった2073年の欧州連邦は、一人っ子政策を推し進め、2人目以降の子供は冷凍保存して、人口が落ち着くまで眠らせるというのだから、かなりの覚悟が要る。こっそり隠れて7人とも育てるには、外出するのは週1日のみで、カレン・セットマンという名前で1人を演じ切る必要があったのだ。
幼少時代のカレンも描かれていて、木曜日が勝手に外に出てスケボーを楽しむシーンがあるのですが、なんと彼女は左手の指を切断してしまうという大怪我を負う。傷を作ったら、皆で同じ傷を作らねばならない!と、他の6人の子の指を切断しなければならなくなった。これがまた痛々しいシーンでして、北野映画の指詰めシーンなんて目じゃないくらい凄まじいものでした(個人の感想です)。学校へも通い始めるカレン。彼女たちは小型ビデオに録画して、情報を皆で共有するという作業にも徹しています。だけど可哀そうなのは日曜日。大人になるまで全く学校に通えないんですもんね・・・
30年後、彼女たちは銀行関係の職場で働いています。月曜日は月曜に・・・といった具合に。で、日曜日は何していたのでしょう?まさか毎週ショッピングに出かけていたとか?彼女だけは性格が変わってしまっていてもおかしくないですね。仕事しなくてもいいですから。ただ、土曜日がパーティ好きなので、酔っぱらった後始末をしなければなりませんが・・・
ある日、月曜日が帰宅しなかったことから大きな展開となります。翌日、火曜日は月曜日の足取りを探るべく仕事に出かけ、なんと児童分配局に捕まってしまうのです。やがて、分配局の殺し屋どもとカレンとの死闘が始まるといった展開。密告者は誰なんだ?というサスペンス要素も含んだアクション満載の内容へと発展するのだった。特に印象に残るのは電子レンジ爆弾とか、指紋認証式の銃を撃つために倒した相手の指を切り取るところでしょうか。
斬新な近未来SFでもありますが、一人っ子政策というのは実際に中国で行われていた政策。例外措置などもあったものの、管理社会には間違いない。それがヨーロッパ規模で行われるといった設定なのです。冷凍保存するくらいなら、日本に送ってくれれば喜んで里親つけますよ!と、現代の感覚ではそうなってしまいそうですが、少子高齢化に無策の政府じゃ無理ですよね。
【2017年11月映画館にて】