ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめのレビュー・感想・評価
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スパイスデ強烈で激辛コメディーに笑い無し
本作は2017年の今のアメリカだからこそ、制作可能となった作品だと思う。
しかもラブコメとして描いている点が逆にシリアスな題材をさらりと流れる水のようにから軽やかに表現しようと試みた作品なのでしょう。
だけれども、私にはその試みも却って全く笑えなかったし、コメディー映画としてサラリと流せるような題材の作品では決してなかったと思うのだ。
主役のパキスタン移民のカメイルのコメディアンライヴのシーンが余りにも強烈で、しかも何度となく繰り返しライブシーンが描かれている。
どれもクメイルは祖国を茶化して表現しているけれど、そう言う風にしか自国の文化を表現出来ない哀しさが胸を突く。
確かに、911の負の記憶を片隅に持って生きる米国人の意識の中ではパキスタン人に対する差別や偏見が現在でも残っているだろう事は容易に想像出来るし、それは特に意識的な物で無くても無意識で有っても、パキスタン人に対する風当たりは他民族への偏見とは少し異なる感情を含んでいる筈だ。
当のクメイル自身は移民であり、本作の当事者なので、映画が描くあのような体験をするのは日常茶飯事なのかも知れない。
そしてクメイル自身の差別に因る、辛い気持ちもパキスタン人としてアメリカに暮らし生きると言う事は、そう言う体験も含めての日常的な体験の一部なのだろうから、これがリアルな現実なのだろう。だが、お金を払って映画を観に来ている私には少しばかり居心地が良い物ではない。
トランプ政権下に於いて移民に対する政治的な圧力が強まる今のアメリカだからこそ、敢えて本作を世に送り出す意味の重要性が有るのだろう事も充分理解出来る。
そしてあのライブのシーンこそは、カメイルとエミリーとの交際の大きな壁と言う障害以上の意味を持っているのだろうけれど、それだからこそ重い作品だ。
本作はコメディアン志望のパキスタン移民クメイルと生粋の白人女性のエミリーとの結婚までの一大狂想曲って感じだが、エミリーもバツイチで、しかもHIVポジティブで、冒頭では心は純粋無垢でも、寂しさを身体で紛らわすヒロイン女性となれば、彼女の生き方に共感出来る人がどれだけいるのだろうか?
後半になりエミリーの病の真相は複雑な病では有っても、回復の見込まれるもので有り、時間経過と共に社会復帰が可能な物と判り、全ての障壁は台風一過の晴れ間のように、希望の色を見せて物語は終焉するので、先ずはホっとして、一応ハッピーエンドで何より良かったと安堵する。
しかし、私は台風が残した傷跡の処理に誰もが不安を覚えるのと同様に、何となく本作のカメイルとエミリーの物語の結末にも一抹の不安を覚える。それ故何とも笑えないコメディー映画で有る本作は非常に寂しく感じられたのだった。
何故かホリーハンターの芝居の存在に唯一救われていた気がする。
彼の人柄が魅力的
生死をさまよう中での重い作品のはずなんだけど、彼女への気持ちと彼女の両親との時間を描いていたので、徐々に距離が縮まり、繋がりが出来る温かい気持ちになる内容でした。
実話なのがまた良かったです。
さすが脚本賞ノミネート作
『8年越しの花嫁 奇跡の実話』と同じシチュエーション、つまり一言で表せば「難病からの奇跡の回復&ハッピーエンド」って話なんですけど、色々とこちらの予想を裏切る脚本の細かさ。
多人種国家ならではのカップル、パキスタン人でコメディアン志望のクメイルとアメリカ人大学院生のエミリーが主人公。
日本人カップルだと「泣ける」がテッパンの流れとなるところ、「異文化コミュニケーションって、こういうことかぁ…」と思わず見入ってしまう仕上がり。
ネタバレは避けますが、みんな一生懸命なのが妙に笑えたり、「そう来るか」と意表をつかれたり、一筋縄ではいかないエピソードが満載。
ラストシーンまで展開を楽しんで、鑑賞後は温かい気持ちに。
しかし、文化の違いすぎる国際結婚って大変なんですね。
緊張と緩和
当の2人の片割れが不在の間に進行する信仰と信条の問答。
シリアスな空気のなかで、おちゃらけるのとは違い如何にユーモアを忘れることなく振る舞えるか――――それはアメリカンジョークではなく、きっと大人の嗜みなんだなって思わせる群像。
4.5
クスッと笑えてしっかり感動できるラブコメ
その中にところどころ大人のビターな描写や会話が含まれている
これが実話というからたいしたもの
本人が本人役を演じ、夫婦で脚本を書いたという
それ故の説得力あり
登場人物それぞれがユニークでなおかつ人物描写がうまい
最初の出会いから最後の出会い、その間の出来事全ての笑いと感動が詰まった伏線の回収でほっこりすること間違いなし
誰にでもオススメできる良作
そんなに難しい話じゃない
アメリカのコメディアンの実話だから
アメリカの事情やアメリカンジョークが理解できないと面白くない。
と書いてる方もいるけど
最近では日本でも身近に在日外国人の方も多いし、
日本国内だって沖縄と北海道では食習慣が違ったり
都会と田舎では近所付き合いの密度が違ったり
そう言うことに置き換えれば
誰にでも理解できる身近な話しだと思います。
イスラム教徒は毎日5回お祈りしてるんでしょ?
なんて思ってるかもしれないけど
生まれも育ちもアメリカで、
アメリカの学校行って、アメリカのテレビ観て育ってる主人公は
イスラム教徒だけどお祈りなんか大嫌いだし〜〜(笑)
主人公の自由さとガチガチのイスラム教徒の親とのギャップも
どこの国のどこの親子にもありそうな話で
ジョークがわからなくても普通に笑えて
最後はみんな一緒に前向きに楽しく生きて行ければ
それで良いじゃん!
と言う雰囲気がとにかく気持ちいい。
声高に移民や人種差別問題をどうこうと叫ぶのではなく
個人個人がよく知ってる友達を、恋人を、親を、
普通に好きで普通に大事に思っていればいい。
何だか、私たちにできる答えを貰った様な映画だと思います。
★もう一度観るなら?「レンタルか配信で、じっくり!」
実話かぁ なら仕方ない
人気コメディアンの結婚のお話しだが
その割には 会話のテンポも内容もそれほど面白くない。それは、コメディは言葉や文化の壁があるから 字幕では伝わらないのかもしれない。なぜか この二人に引き込まれなかった。
実話ゆえに文句つけられないが 彼女が大病になって、互いの心知り 結ばれるという お話し
このコメディアン 向こうでは人気あるのか…
でも 移民排斥だ ヘイトだテロだ閉塞感の世の中には 和む映画 本国での大ヒットはそんな背景もあるかも
スパイスの効いたラブコメ
クメールとエミリーというキュートなカップルのロマンスと2人を取り巻くを家族を描く、気軽に観れるハートウォーミングな話だった。脚本を書いたのはクメール・ナンジアニとエミリーV. ゴードンの夫妻。実際の2人の出会いをベースに書かれており、私たちはこの2人のおのろけ話を聞かされるわけだが、クメールがパキスタンからの移民であることで、なかなかスパイスの効いたラブコメになっている。
面白かった
久しぶりにもっと観ていたい、と思う映画でした。
正直、シェイプ・オブ・ウォーターよりもスリービルボードよりも良かった。
アカデミー賞最有力とか書かれていたので、何の部門だろう、って調べてみたら脚本賞にノミネート。なるほど。
確かにて派手な演技も演出もないから作品賞は無理か…笑
でも、エイミーのお父さん役は助演男優賞モノでしたよ。
ハートウォーミングなストーリーとコメディ要素が絡み合った良い作品でした。
2018-22
パキスタンの慣習ではないけど、自分の母親の言ってたことを思い出した。
バブリーなときに大手の会社に就職して、女子はお茶汲みしとけばいいと言われ、結婚して寿がシアワセ、25過ぎたら女は終わりだから~という時代で、
好きな仕事をすることもできず、それが苦痛だったし、そんなときにお見合いして、さくっと結婚して、やめてやったわ!と言ってた。
結局早く結婚して、子供も産まれて勝ち組やんって言ったら、「早く結婚して子供もいたから、遊べなかった」とか言われ、それ娘に言っちゃう真っ正直さ、娘に確実に遺伝してます。
話はそれましたが……。
わたしはエミリーママが好きだった。
自分の母親みたいに正直で、お酒飲んで娘の彼氏にのろけちゃう可愛さが魅力的。
実話と知らずに見た方がよかったかもなぁ。
期待上げすぎたからか、普通にいい話、という感じ。
すみません正直で。
アメリカン・ジョークわからん
実話でなければ、ふーんという内容だと思う。そもそも、アメリカのスタンダップ・コメディがわからないので、笑い所がつかめなかっった。
内容には関係無いけど、お見合い相手のパキスタン人が全員美人で、自分が主人公なら、気持ちが揺らいでいたかも。
自分は内科医なので、このビッグシックを診断したことはあるが、あのような症状を呈することは稀だと思う。
社会、周囲、本人、すべてが病気だったのかも
実話を下にした作品。
パキスタン出身の男性コメディアンとアメリカ人女性のカップルが、結婚に向けて様々な障壁を乗り越えていく様を描いた物語。俳優クメイル・ナンジアニと、ナンジアニの妻である脚本家のエミリー・V・ゴードンが自分たちの体験をもとに脚本を作り、ナンジアニ自身が主演を務めている。
エミリーがリアルに大病になっていますが、ここはやっぱり、二人の幸せを阻む因習が“病気=ビッグ・シック”なんですよね。確かに、その因習に悩まされている側からすると、因習そのものが“病気”であり、因習にとらわれている人たちも“病気にかかっている”様にも思えてくるのかもしれませんね。
また、邦題のサブタイトルも“ぼくたちの大いなる目ざめ”なんてなっています。これは、やっぱり“ぼくたち”となっているところが、ミソなのでしょうか?この“ぼくたち”は、因習にとらわれている人たちと言う解釈もありますが、実は、『本当に愛しているのは誰であるのか』と言う事を、病気を通じて改めて感じた、クイメルとエミリーの二人なのでは無いかとも思いました。
結婚は、日本人同士であったとしても、育った環境の違いによっていろいろな違いがあって、なにかと障壁になりますが、国際結婚はそれ以上。しかも、少なからず宗教も絡んできてしまっていますから、余計に大変。口で言うのは簡単ですが、作品からはリアルな苦しみが感じられます。
この作品の素晴らしいところは、“リアル”なところ。脚本も当事者たちが書き上げ、且つ、演じているのも(男性側は)本人。そりゃ、リアルになりますよね。
ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ
2018年18本目の劇場鑑賞。
人気コメディアンのクメイル・ナンジアニが、
自身と妻エミリー・V・ゴードンとの馴れ初めにまつわる驚きの実話を、
エミリーとともに脚本を手がけ、
自ら主演して映画化。
白人女性と恋に落ちたパキスタン系移民のクメイルが、
まるで文化の異なる家族と恋人のはざまで揺れ動くさまと、
思わぬ障害に直面した2人の恋の行方を、
移民を巡るアメリカ社会の実情とともにユーモラスなタッチで描き出す。
主役のクメイル・ナンジアニと奥さんとの出会いを描いた自伝的映画。
主人公がパキスタン人といのが新しい。
ゾーイ・カザンとホリー・ハンター以外は、
ほとんどコメディアンで構成されたキャストはみんな面白い。
中でもベス演じるホリー・ハンターが素晴らしく、
クメイルに対して差別発言をした男に食ってかかるくだりは胸が熱くなる。
クメイルの両親は、
厳格なイスラム教徒の家族という部分だけに終わらず、
彼らの日常やユーモア溢れる部分にも触れている内容は良かった。
本作はどんなに深刻な状況においても、
必ずユーモアが描かれている。
一見クメイルの自伝的映画のようで、
大いなるアメリカンドリームの話でした。
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