「社会、周囲、本人、すべてが病気だったのかも」ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
社会、周囲、本人、すべてが病気だったのかも
実話を下にした作品。
パキスタン出身の男性コメディアンとアメリカ人女性のカップルが、結婚に向けて様々な障壁を乗り越えていく様を描いた物語。俳優クメイル・ナンジアニと、ナンジアニの妻である脚本家のエミリー・V・ゴードンが自分たちの体験をもとに脚本を作り、ナンジアニ自身が主演を務めている。
エミリーがリアルに大病になっていますが、ここはやっぱり、二人の幸せを阻む因習が“病気=ビッグ・シック”なんですよね。確かに、その因習に悩まされている側からすると、因習そのものが“病気”であり、因習にとらわれている人たちも“病気にかかっている”様にも思えてくるのかもしれませんね。
また、邦題のサブタイトルも“ぼくたちの大いなる目ざめ”なんてなっています。これは、やっぱり“ぼくたち”となっているところが、ミソなのでしょうか?この“ぼくたち”は、因習にとらわれている人たちと言う解釈もありますが、実は、『本当に愛しているのは誰であるのか』と言う事を、病気を通じて改めて感じた、クイメルとエミリーの二人なのでは無いかとも思いました。
結婚は、日本人同士であったとしても、育った環境の違いによっていろいろな違いがあって、なにかと障壁になりますが、国際結婚はそれ以上。しかも、少なからず宗教も絡んできてしまっていますから、余計に大変。口で言うのは簡単ですが、作品からはリアルな苦しみが感じられます。
この作品の素晴らしいところは、“リアル”なところ。脚本も当事者たちが書き上げ、且つ、演じているのも(男性側は)本人。そりゃ、リアルになりますよね。
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