「彼女がもし、病気になっていなかったら‥‥」ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
彼女がもし、病気になっていなかったら‥‥
クリックして本文を読む
・2人は別れたままで、よりを戻すことはたぶん無かった。
・彼女の両親と極限状況(彼女の命の瀬戸際)だからこその相互理解の機会はうまれていなかった。ISIS絡みのタチの悪い野次への怒りをホリー・ハンター演ずる母親と心の奥底で共感することも無かった。
・お見合いは続き、どこかで妥協し、イスラム教のパキスタン人と結婚していた⁉︎(敬虔な信仰の崇高さや母親の愛情よりも信仰に縛られる頑迷さへの『やるせなさ』しか印象に残らなかったかもしれない)
・信仰を持たないことを明かすことが出来ず、正直な心持ちで家族と向き合うこともなかった(家族を騙し続けることになっていたし、NYへ旅立つ前の父親との男同士ならではの心のひだに触れる交流もなかったと思う)。
しかしながら、彼女の病気がもし回復せずそのまま亡くなっていたら、これ以上の悲劇はないわけで、「病気になって良かった」などと安易で軽率なことは言えません。
彼女の生命の危機を一緒に経験していなかったら、生まれなかったであろう相互理解や信頼関係の再構築を目の当たりにして、人生の運不運や巡り合わせについて正解のない堂々巡りの思索にはまり込んでしまいました。
コメントする