汚れたダイヤモンドのレビュー・感想・評価
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油断していると斬られそうな緊張感が持続する
ダイヤの原石のような美しい異才ぶりが充満している。だがその先端は実に鋭利で、油断するとこちらが斬られるような緊張感が持続してやまない。目の覚めるような鮮烈な色使いと、緻密に計算されたアングル。そこにうごめく怪しげな男たち。時折差し挟まれる容赦なきショッキングなシーンに心臓が飛び出しそうになり、またそれを押し戻しながら、事態の展開を見つめてしまった。思えばダイヤを扱う犯罪映画は数多いが、これほどダイヤ業界の内部を描き出すストーリーも珍しい。多くの線路(人生)が混じり合い、やがて集約されていく終着駅。果たして親から受け継いだ“一族の血”と、親代わりの男から注入された“育ちの血”、そのどちらが勝るのか。オーソドックスなテーマではあるものの、それを寡黙かつ洗練された語り口で浮き彫りにしていく過程にアルチュール・アラリ監督にしか成しえないセンスと大胆さを感じた。極めて中毒性の高いノワール作品である。
ハリウッド製犯罪映画に飽き気味の人は是非!!
瞳孔とダイヤの輝きをダブらせた冒頭の鋭くて危険なイメージは、その後もずっと映画を支配し続ける。ダイヤの研磨師だった亡き父の恨みを晴らすため、周到に復讐計画を進めていく主人公は、監督がベースにしたという「ハムレット」より、むしろ、その怒りと飢餓感に於いて、「太陽がいっぱい」のリプリーがダイヤ業界に蘇ったかのよう。計画遂行の過程で待っていた女性との宿命的な出会い、彼を助ける年老いた共謀者の父親のような眼差し、そして、すれ違いが招く衝撃的な幕切れetc。これは、フランス伝統のフィルムノワールに先端的味付けを上書きした必見作。設定やディテールのきめ細やかさは勿論、復讐に伴う代償を描いたラストに漂う荒涼感は、鑑賞後もしばらく後を引く。喧噪に終始するハリウッド製犯罪映画に少々飽き気味の人に是非お薦めしたい。
初な子ねェェ。
思わずおネエ言葉で揶揄したくなるほど、話が進むにつれて犯罪のプロ失格の青臭い青年になっていく主人公。
勝負のかかった状況で、従兄の嫁に激しく欲情してしまうし、そのことが原因でダイヤモンドを盗む計画が破綻する。
しかも、憎んでいたはずの伯父の言葉にほろり、自分を導いてくれた泥棒のリーダーの死にもほろり。
私情のもつれがビジネス(プロの犯罪者にとって犯罪はビジネス!)のトラブルに発展。しかも、相矛盾する判断を即座に下さなければならない。
映画ならではのハラハラ、ドキドキ。
久しぶりにヒリヒリする緊張感を映画で体験した。
暗い輝き
ダイヤモンドの研磨作業というのを初めて見ました。映画自体も面白かったです。
舞台は主にベルギーのアントワープ。あの、手を持った銅像は本当にあるんでしょうね。もしもベルギーに行くことがあったら見てきたいです。
主人公のピエール・ウルマンは伯父に復讐しようとするけれど、伯父はそれほど悪い人ではなかったという事なのでしょうか。
いとこのギャビーはてんかん?の発作もち。その恋人のルイザはボクシングが趣味の化学研究者というのも、ちょっと不思議で面白い設定。
そして窃盗団のルシッドの最後の表情が印象的でした。
なぜか警察にゴパールがいて、すべてを見抜くというラスト。
Niels Schneider目当てで行きましたが、もはやあのマシュマロの面影は微塵もなく、すっかり大人になっていてちょっとびっくり。髪の色やひげのせいかな。
正統派
久しぶりの正統派フレンチノワールで、ドキドキハラハラしながら鑑賞しました。ナイフでザクザク刺さる感じの洗練されたフィルムが美しかったです。
主人公が優しすぎるのか、もう少し厳しい内容だと想像していましたが、想像よりもライトな作品でした。レオス以来の衝撃にはなりませんでしたが、フィルムの感じがほんの少しだけレオスっぽいかも?
手
親戚とか研磨の仕事とか、人間関係やダイヤに関わる仕事に対することとか、ごちゃごちゃと面倒臭くみせているけれど、結局何の思い入れもない何だそれ?な展開。
テンポ悪く長々とみせらてこれと言ったものは何もない、兎に角退屈な映画だった。
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