劇場公開日 2019年5月18日

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「ブレイク・ライブラリー」ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ブレイク・ライブラリー

2019年7月16日
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鑑賞方法:映画館

図書館についてのドキュメンタリーだが、いきなりリチャード・ドーキンスが「若い地球説」を唱えるファンダメンタリストを揶揄する痛快なシーンから始まる。エルヴィス・コステロのサッチャリズム批判にしろ、黒人奴隷について書かれた教科書の不見識にしろ、それぞれの内容は興味深いのだが、全編のうちこういった講演会などのイベントがかなりの時間を占めている。一部をつまんでコラージュするのではなく、結構な尺をとって紹介していく。フレデリック・ワイズマンの映画は初見だが、なるほど上映時間が長くなるわけだと合点がいった。
この図書館は、「ゴーストバスターズ」の冒頭ポルターガイスト現象で目録カードが乱れ飛ぶシーンでお目にかかって以来だが、当時とはすっかり様変わりしたようだ。とにかく利用者が皆デスクトップかノートパソコンかスマートフォンか、いずれにせよディスプレイを見ている。そういう時代なのだと言えばそうなのだろうが、隔世の感がある。紙の本とデジタルコンテンツの相克は、映画の中の会議でも言及されていたが、結構悩ましい問題なのだろう(ちなみに、日本なら図書館内の会議は撮影させないだろうな)。
ニューヨーク市は人口も多いとは言え、地域別と主題別の分館含めて90館以上、所蔵6000万点というのは桁違いだ。書籍以外の資料も多いのだろう。テーマ別の画像ファイルというのも(手間が大変だが)便利そうだ。スタッフもかなりの数が要るだろうし、日本のように公立中心だと、行政の理解を得て予算措置するのはなかなか難しいかもしれない。カーネギー氏のような篤志家が現われないものか。

追記:“シュミレーション”の字幕は残念だった。

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梨剥く侍