「本作の内容は、前作の続編です つまりイルサの物語パート2です」ミッション:インポッシブル フォールアウト あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
本作の内容は、前作の続編です つまりイルサの物語パート2です
シリーズ第6作
クリストファー・マッカリー監督
本作で初めて前作の監督が続投しました
本シリーズは1作毎に監督を変える趣向というのは次々に変えられた監督が傷つかないようにするための方便でしかないと思います
映画化権を持っているプロデューサーとしてのトム・クルーズが満足しなければ、第1作のデ・パルマ監督のような大物監督であろうと容赦なく変えられるということです
しかし雇われ監督の一人が遂に前作の「ローグネーション」で、本シリーズでトムが満足できる作品を撮ってくれたのです
それがマッカリー監督なのです
本シリーズ初めての監督留任とはそう言う意味だと思います
製作陣のJ・J・エイブラムスも留任
首がつながりました
前作は本シリーズ初めての傑作でした
遂に一流アクション映画の仲間入りです
競合シリーズのボーンシリーズを打倒する
これが本作の目標だと思われます
ボーンシリーズを超えれば、世界一のアクション映画、007シリーズが射程圏内に入るということです
名実ともに007シリーズ以上のアクション映画を製作し、主演したという栄光を掴む
これこそがトム・クルーズの最終的な野望だと思います
ボーンシリーズは、主人公が孤軍奮闘する物語で、敵方で物語の広がりを作るしかありません
もうすでに袋小路にはいりつつあるのは明らかです
しかし、本シリーズでは、J・J・エイブラムスが路線をオリジナルテレビシリーズのチームプレイに路線を引き戻して以降、積み上げてきたチームメンバーのキャラが確立してきて、今後の物語の発展性がいよいよ広がってきました
前作のマッカリー監督が、脚本のレベルを格段に向上させ、メンバーそれぞれが生き生きと動き始めています
さらに主人公をより輝かせる新ヒロインの創造に成功したのです
しかも、作品の映像クォリティーもまた一流のレベルに向上させています
ゆえに、マッカリー監督の留任は当然のことです
そして、彼が前作に続いて撮った本作は、前作を上回る傑作となったのです
つまり、第6作が今のところ本シリーズ最高傑作ということです
しかもまだまだ良くなっていきそうなんです!
007シリーズに肩を並べるアクション映画を撮る
そのトムの野望が実現される日は近づいているのです
本作の内容は、前作の続編です
つまりイルサの物語パート2なのです
テーマはふたつです
イルサを本シリーズの正ヒロインとしてレギュラーメンバー化すること
そして、年齢が上がってきた主人公イーサンの次の展開の為の伏線を用意することです
ひとつ目は、
イルサはMI6との関係を正式にクリアさせることと、ジュリアからイルサへのヒロインの委譲が必須となるのでこれをうまく達成させています
さて、ふたつ目です
トム・クルーズの年齢は、本作公開時56歳に達しています
顔を見れば、前作ではわからなかった老化が明らかに容貌に現れ初めています
すこし頬に肉付きがあるのです
いや、もしかしたらこれ演出の一環で、メイクさんの技なのかも知れません
007のボンド役をショーン・コネリーが勇退したのは、1971年の「007 ダイヤモンドは永遠に」の41歳のとき
番外編の1983年の「ネバーセイ・ネバーアゲイン」でも53歳の時でした
二代目のロジャー・ムーアは、1985年の「007 美しき獲物たち」で58歳の時でした
本シリーズも気がつけば長寿シリーズとなり、第1作公開から、22年もの年月が過ぎ去っています
34歳のトムも今や56歳です
つまり、トム・クルーズの演じるイーサンの現場工作員引退の時が迫っているということです
おそらく次回作はこれがメインの物語となるはずと思います
だから、その伏線として本作ではイーサンの失敗シーンを数多く散りばめてあるのです
昔のイーサンなら1発できたのにと思わせるように仕向けてあります
おそらく次回作では、殉職したアラン・ハンリーの後任に、イーサンがプレーイングマネージャーのIMF長官になり、テレビのオリジナルシリーズでのフィリップスのようなポジションとなると予想しています
そして後継主人公として、かねて第4作の「ゴーストプロトコル」から用意されていたジェレミー・レナーのブラントが、チームメンバーを束ねて活動していく形になるのが、かねてからの構想だったと思われます
しかし、ブラントのキャラ造形が下手くそだった為使いにくく、マッカリー監督は前作では使ったものの、本作では匙をなげて登場させないことにしてしまいます
本当なら、本作のCIA のウォーカーはブラントがやるべき役です
監督は別人として物語の面白さを優先させています
このブラントをどううまく復活させるのか?
それよりイルサをどうにかしてIMF に迎えていれた方が面白いじゃないか?
ひょっとするとイルサがイーサンのポジションに入るのかも知れません!
ブラントが副官ポジションで愚痴ばかりたれるけどやればできる工作員なのかも?
しかし次回作の配役にはジェレミー・レナーの名前が見当たらないのです
ジュリアは今回で退場だと思います
だって現在の夫がいるのです
これをこれ以上いじっても不倫物語みたいな違う映画になりますから
イルサがジュリアと目があった瞬間、二人の女性の間で、イーサンの平和的引き継ぎが行われていたのです
見事に簡潔なシーンでした
正ヒロインの座にイルサが就いた瞬間でもありました
しかも冒頭のジュリアとの結婚式の夢と対になっている構造なのです
全くもってお見事です
アクションや、スペクタクルだけでなく、人間もきちんと描けているのです
もちろん、アクションは見せ方がさらに上手くなりよりいっそうハラハラさせます
チームメンバーの活躍も、クライマックスのベンジー危機一髪シーンなどは、ベンジーがんばれー!と思わず声援を上げてしまいました
そして序盤の病室の壁が取り払われる時のスパイ作戦成功の快感!
正に往年のテレビシリーズそのまんまのトリックでした
次回作への妄想が膨らむ一方です!
それだけめちゃくちゃに面白いということなんです!
第7作
マッカリー監督が3作連続で続投です
今年2021年11月公開予定とのこと
もうあと少し
しかも007シリーズ最新作「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」が、なんと2021年10月から日本で先行公開されるとのことです
本シリーズと007シリーズとの直接対決です!
楽しみで仕方ありません!