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「私はやっぱりダーレンが好き♡」マザー! ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
私はやっぱりダーレンが好き♡
本作は、詩人(男性)の視点からではなく、妻(女性)の視点からキリスト教の欺瞞と矛盾が描かれており、世界中のキリスト教信者+男性達という圧倒的な権力+マジョリティを敵に回した問題作品だったので、ダーレン流石怖いもの無しだわと、胸が震えるほどに感激しました。
この詩人は、つまり男性社会の象徴である『一神教』です。この一神教=男性社会は、自分に才能や権力があると盲信した男、外面だけは良い男、全てを引っ掻き回して台無しにする男、直接的にも間接的にも妻への暴力に加担する男、間接的であれ子供を殺した男、として描かれています。戦争、殺戮、差別、環境破壊等、諸悪の根源は一神教である男性社会だったというオチ。女性を虐待してきた男性社会の歴史。
なんかこの詩人の言動に見覚えがあるなあなんて思ったら、実は身近にいる男性(父親、夫、恋人、上司)だということに気がつきます。だからこそ、この妻の憤りに共感できる女性は多いと思います。
自分が原因で妻や子供が死んでも、何事もなかったかの様に次々と新しい女性に乗り換える詩人。しかも死んだ妻よりもさらに若い妻なんでしょうね。本作を鑑賞後、冷静にこの社会を見てみたら、パーソナリティがある女性ってどれくらいなんだろうって思ってしまいました。女性は、長い間産む道具(妻)としてしか存在出来なかったんだなって。祖母も母も叔母も次に生まれ変わったら、仕事を持って自由に生きたいって言ってたし、私が今存在していることは喜ばしい反面、沢山の女性の苦しみがあったからこそなんだなと想像しました。
厳格なユダヤ教徒の家に生まれたダーレンが、こんな女性目線の作品を撮るとは思ってもみませんでしたし、ここまで神を否定してみせたのも凄いパンク。
私はテクノロジーが進めば出産は男性でもできるようになると思っています。不変だった生命のルールが変わったらとてつもない変化が人類に訪れそうですよね。そんな時に宗教はオワコン化するのか?一神教だけオワコン化するのか?男や女って何それ?になるのか?そんな革命を見届けてみたい気分です。
今晩は。
”厳格なユダヤ教徒の家に生まれたダーレンが、・・ここまで神を否定してみせたのも凄いパンク。”成程。
ダーレン・アロノフスキー監督は、(全ての作品を観た訳ではありませんが)ユダヤ教徒であるからこそ、芸術家として敢えて今作のようなアンチキリスト、アンチ男性主義の映画を挑戦的に製作したのでしょうか。(結果は散々でしたが)
私は、今作の世界観は好きでしたね。それにしても、この監督は「ノア 約束の舟」や制作に関わった「ジャッキー」を見る限りでは、フェミニストの視点を大切にしているのかなあ、とも思いましたね。では。
ミカさん、いつもありがとうございます。
なかなか満点評価の人がいなくて寂しい思いをしておりました!
キリスト教に批判的な映画ってのはなかなか見る機会もないのですが、こんな作品をもっと見たいものです。
日本でいえば家父長制度批判みたいな感じの・・・