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「【”我慢強すぎる創造の母” 不穏感、終末感が尋常でないダーレン・アロノフスキー監督節全開の、怪作である。創世記をモチーフにした作品でもある。】」マザー! NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”我慢強すぎる創造の母” 不穏感、終末感が尋常でないダーレン・アロノフスキー監督節全開の、怪作である。創世記をモチーフにした作品でもある。】
ー 今作に登場する人物は、誰も名前が出て来ない・・。
草原の一軒家に住む、詩人の男(ハビエル・バルデム)を夫に持つ若く美しい妻(ジェニファー・ローレンス)
そして、そこに訪れる詩人のファンだという男(エド・ハリス)と矢鱈に”子供は?性生活は?とづけづけと聞いてくるその妻(ミシェル・ファイファー)
錚々たる布陣だが、今作はアメリカでの興行で惨敗し、日本上映も見送られたという、曰く付きの作品でもある。
この内容では、不興を買うだろう・・、と思う反面、私は今作を面白く鑑賞した。
但し、事前にアメリカ在住の著名な映画評論家の本で、今作のレビューを読んでいた事が、その要因であることは否めない・・。ー
◆感想
・冒頭、炎に包まれた女性の顔がアップで映し出させれる。だが、この女性はジェニファー・ローレンスではない事が、詩人の男の言葉で分かる。
詩人の男は、火事で前妻を失っていた・・。
・若く美しい妻は、草原に出る事もなく、只管不安げな顔で、家の壁にペイントを塗っていたり、不安感が増すと、黄色い水を飲む。
ー ダーレン・アロノフスキーは、ある映画祭でジェニファー・ローレンス扮する女性は、”激甚化する気象や、戦争により大地が傷つけられている地球の象徴だ”と語ったそうである。
この後の展開は、監督の映画製作の根本理由を知った身には、良く分かる。ー
・矢鱈と、他人を家に招き入れる夫。それに、抵抗する妻。ミシェル・ファイファーが、夫が大切にしているクリスタルを壊した時には、夫も激怒するが、妻が妊娠しその喜びを詩にしたら、ベストセラーになったらしく、嵐の様に家に押し寄せる編集者、ファンたち。
夫は再びその連中を家に入れるが・・、彼らは家をバッコンバッコン破壊し始める。
・そして、漸く授かった男の子を、妻は夫に抱かせない。
”私がマザーよ!”
・だが、男の子は夫により、民衆の中に連れて行かれ、無残な死を遂げる。そして、妻も民衆から暴行を受ける・・。
妻は、家に火を放ち、死に至る前に夫は妻のお腹から”クリスタル”を取り出す・・。
ラスト、灰になったベッドから、新しい妻が姿を現す・・。
ー 成程。ダーレン・アロノフスキー監督版、"創世記"だな・・。ー
<自由で、寛容すぎる詩人の夫はどう見ても、ダーレン・アロノフスキー監督自身であろう。
そして、詩人の夫は天地創造の”神”でもあるのであろう。
もう少し、自身の想いを制御して、商業ベースとして成り立つ作品を作れば良かったのに・・、とも思ったが、観客にイロイロと類推させる面白い映画であった。>
凄く理解できるレビューです。
僕としてはせっかく、創世記ならば、いきなり、バビロンの塔の崩壊に飛ぶのではなく、アデルとカインの姿を描いて貰いたかったって思いました。
こんばんは。ノアはまだ観てなくて、レスラーはめちゃくちゃ好きです。でも、レクイエムフォードリームは、劇場で観てトラウマになり、ダーレンは二度と観ないとまで思いました。私にとっては、振り幅が大きい監督です。