「恐怖の転職」盗聴者 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
恐怖の転職
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生真面目さだけが取り柄の中年サラリーマン、デュベル(フランソワ・クリュゼ)、離婚して一人暮らしで失業中、突然怪しい仕事が舞い込むが週給1500ユーロだから否応なく乗ってしまう。
状況を理解する説明も無いまま秘密組織や警察に振り回される主人公を描くだけ、予測できない展開に只管翻弄されるノワール調のサスペンス映画。原題:La mécanique de l'ombreはフランス語で「影の力学」。
主人公が平凡なサラリーマンと言うのが味噌でしょう、もしあなたがCIAのようなやばい組織の仕事に巻き込まれたらという設定がスリルを煽りますからね。
NHKのドキュメント(BS世界のドキュメント:フランス諜報員の告白)によるとフランスのスパイ機関DGSEは民間人をリクルートして工作員に仕立てているらしいから突飛と言う設定でもないのだろう。
どうも仕事の紹介者は政府筋に顔の効く友人の実業家らしい、仕事柄、政治家との癒着ぶりが伺える。事件の陰に次期大統領候補の陰謀が絡んでいるらしいが政治絡みでは良くある話かも。
テロリストに捕えられたフランス人の人質解放は西アフリカのニジェールでの事件をもじっているのだろう、裏でテロ組織に2000万ユーロもの身代金が支払われたと伝えており、物議を醸しました、フランス人ならピンとくる一件なのでしょう。
観終わってみるとハラハラさせられただけで謎解きのカタルシスもなく陰鬱なだけ、盗聴テープの文字おこしなんて超アナログな仕事も嘘っぽいし、工作員らしい男もチンピラ風、存在感の薄い敵役では物足りません。主人公同様、なすすべもなく途方にくれるだけという無力感が後を引きますね・・。
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