「【”親とは子のためになら、存在を消せる。嘘は真実の陰”。心に沁み入るミステリー映画。”新参者”シリーズのテーマ”人は何故、哀しき嘘を付くのか”を見事に描いたシリーズの掉尾を飾る作品である。】」祈りの幕が下りる時 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”親とは子のためになら、存在を消せる。嘘は真実の陰”。心に沁み入るミステリー映画。”新参者”シリーズのテーマ”人は何故、哀しき嘘を付くのか”を見事に描いたシリーズの掉尾を飾る作品である。】
ー 昨晩、「麒麟の翼」を鑑賞し、作品レベルの高さに驚いた。
で、本日、今作を鑑賞。
非常に心に沁みるとともに、読んでいた”新参者”シリーズを見事に映像化したモノだと思った作品である。-
◆感想
・本を読んだ時には、やや分かりにくかった多くの人物(変名多数あり)の相関性が、捜査本部の黒板で示される事で、非常に分かり易くなっている。
ー この手法は、多くの映画で踏襲されている、-
・このシリーズの主人公、加賀恭一郎の(阿部寛)の複雑な家庭環境が本作で明らかにされるシーンの描き方も、巧い。
ー そして、彼が同じ刑事であった父親(山崎務)との前作で描かれた確執の理由も明らかになり、彼と哀しき過去を克服し、人形町の老舗劇場・明治座で”曽根崎心中”を上映する程の演出家となった浅居博美(松島奈々子)との関係性が分かるシーンの演出も良い。
因みに、”曽根崎心中”を演出するという点も、陰ながら効いている。-
<ミステリーとしての謎解きと、様々な事件関係者の哀しき嘘や過去、そして心の謎が炙りだされていく後半のヒューマンドラマとしての展開は、見事である。
加賀恭一郎の母親(伊藤蘭)も、彼が幼きときに疾走し、浅居博美のアル中の母親(キムラ緑子)も博美が幼きときに、父(小日向文世)を置いて、出奔している。
この二人の関係性も、作品構成上上手く描かれている作品である。>
■映像化された作品を観て思った事。
・音尾琢真は、矢張り良い俳優である。
善人でも、悪人でもどんな役でも熟す。
この俳優が出演している作品は、ほぼ外れがない。
・浅居博美の若き日を演じた、桜田ひより、飯豊まりえさんも良かったなあ・・。