劇場公開日 2018年1月27日

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「人生はたまらんものだ。愛は知らない方がいい。」祈りの幕が下りる時 totechinsyanさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0人生はたまらんものだ。愛は知らない方がいい。

2019年3月1日
iPhoneアプリから投稿

今日は息子の卒業式で焼鳥を食べながらこの映画を。
焦げた人間の映像はキツい。ビールで飲み通す。
後半は涙10回。我慢は無理。
逆らえない、逃げられない、どうしようもない偶然で人は不幸のどん底に落ちる。悔やんでも恨んでもどうしようもない。
邪魔なのは"愛"だ。邪魔でもあるし、心の武器でもある。これさえ自在に操れさえすれば、人生はスムーズに、不幸に見舞われずに済む。でも、"愛"はとてつもなく厄介だ。拭っても、振り払ってもまとわりつく。
東野圭吾はいつもどうしてこんな、拭えず振り払えない"愛"ばかりを描くんだろう。素晴らしくもあり、最悪の罪の源でもある"愛"を。
この"愛"のためなら、罪も罰も、いかほどでもないのかも知れない。一片の後悔さえないのかも知れない。
"愛"は、底知れない、広さの行方が知れない。"愛"なんか知らない方がいい。浅はかな自分のままでいい。でも、こんな娘がいたら狂うだろう。なんでもしてやるだろう。血縁は人という生き物の存在意義。生物のDNAは理性を吹っ飛ばす。拭えない。振り払えない。親子の縁だけはどうしようもない。
写実、演出、申し分ないです。特に最後の手紙を手にした時と演者達が一斉に頭を下げたシーンの被った映像。
たまんない。いちいち、たまんないよぉ。

totechinsyan