「深くて重い」祈りの幕が下りる時 松村 訓明(まつむら のりあき)さんの映画レビュー(感想・評価)
深くて重い
昨日(1/27)、「祈りの幕が下りる時」を観て来ました。
一言で言うと深くて重い映画でした。
ストーリーは、主人公の加賀 恭一郎(阿部 寛)の母が失踪し、その母が死亡前に付き合っていた男性と殺人事件で殺された男性が同一人物ということが判明し、主人公が犯人探しに乗り出します。男性が殺される少し前、その男性の部屋では女性が殺されており、その2つの殺人事件は相互に関連があると分かったものの、それ以上の進展が見込めず、捜査も暗礁に乗り上げたか、と思ったのですが、主人公の深い推理で犯人に行きつきました。
この映画を観て思ったのは、人はそれぞれその人にしか分からない過去があり、それを背負っていくしかないのだ、ということです。舞台演出家として活躍する浅井 博美(松嶋 菜々子)は、壮絶で暗い過去を持っており、その内容が映画で明らかになっていくのですが、そのストーリーを観るととても悲しく、多くの涙が出ました。そのストーリーの中で別の事件を起こしているのですが、自分ならあの環境の中でどう判断し、行動しただろうか、と思いながら映画を観ました。
映画の中で中学生の少女にお小遣いを上げるから、と言って性的な行為をしようとするシーンがありますが、現実でも性的な被害に遭うのは、弱い女性です。加害者側である男性の一員として申し訳ない気持ちです。常日頃から思っていますが、性的な犯罪はこの世から失くさないといけないと思っています。
この映画は、人はその人なりの過去を持っており、その過去を背負い、どのように生きるべきかということを考えさせてくれる素晴らしい映画ですので、時間の許す方は、是非、ご覧になってみてください。
ありがとうございました。