「お約束懐かしくて熱い!」映画ドラえもん のび太の宝島 dekamoさんの映画レビュー(感想・評価)
お約束懐かしくて熱い!
時間がちょうどよかったので思い付きで鑑賞。星野源の主題歌だけは認識していた。平日の昼間、他には父と子が2組がいて、そこに成人男性一人という少し異様な空間だった。基本的にはお約束のネタが満載で、ちょっとしたギャグで笑って観れて楽しかった…。
日常から宝島へ向かう流れがスムーズで、熱くなる。アニメーションが美しい。お約束だらけで道具の説明も飛ばしながらがちょうど良かった。マッドマックスのようなどこかへ向かって行く展開とそれらしい海賊のデザインも好きだった。なぞなぞで冒険のヒントをくれるオウムのクイズもかわいかった。フレンチトーストが以上にうまそうだった。水をかき出したり舟をこいだりするミニドラがかわいかった。
特に、しずかちゃんが誘拐されて、のび太が真っ直ぐに助けなきゃって動き出すのに感動した。一度離れたジャイアン・スネ夫が助けに合流してくる展開も熱かった。
しかし、どうしても良かった点だけでは語れないなと思う。総評としてはコンテンツ力及び懐かしさ・お約束ギャグの愉快さ・デザイン性・アニメーションクオリティ等々を尊重して【4.0】にしてみるけど、個人的に感じたテーマ性と星野源の使い方を加味するともう少し下げたい…。
おそらく本作のテーマ、家族愛、特に父と子の関係性について。のび太とパパの関係性も絡めてあったが、取ってつけたような重みしか感じられなかった。シルバーとフロック・セーラに関する情報が出てくるのが遅いためだろう。
星野源の挿入歌の使い方がもったいない。セリフにかぶせっぱなしで、両方が立ってなかったように見えた。主題歌は単体では好きだけど流れが良くなかった。無理矢理くっ付けた感じが嫌だった。
脚本・川村元気さんを少し調べて驚いた。企画やプロデュースなど関連作品は、2005年電車男から告白、悪人、モテキ、おおかみこどもの雨と雪、寄生獣、バクマン、君の名は。、怒り、何者等々…。こんなかっこいい人いるのか。あるインタビュー記事では、ヒット作に方法があるなら避けると…映画ファンとしての自分の観たいものを作るんだと。いや、本作含めここに挙げた作品も、あえて言うならジャンルが当てはめやすい。新規性があるとはいいがたいように思う。人気女優さんとか監督とか映像表現とか旬さはどれもある。どれも熱量が高く、展開がてんこ盛りで、そういったものを成立させるのはやはり賢いんだろう。んー、いけ好かないというところで、今の日本映画界に欠かせない人だろう。
本作鑑賞の翌週、ディズニーピクサー新作「リメンバー・ミー」を鑑賞。奇しくもテーマは家族の大切さ。題材はメキシコの伝統行事死者の日そして死者の国。あと、音楽の力。どうせ面白いんだろうと思ったら、やっぱり面白い。テーマ・メッセージ性について物語が純化してて良い。あと、音楽の存在。ミュージカルだから使い方は特殊だけど果てしなく良かった。
これらの観点から本作について言えば、もっと徹底して家族愛にした方がよかったんだろう。宝島に向かう動機に家族愛が絡んでないのが物足りなさだろう。個人的な願望だが、君の名は。のradwimps楽曲のもはやMV的な使い方で星野源を挿入してほしかった。何なら前半にほしかった。「ドラえもん」ってタイトルの曲を作らせといて使い方に愛がないなと思った。実際、脚本の完成と楽曲の完成のタイミングが問題だったかもしれないが。スネ夫の「どどどどどっドラえもーん!!」っていうセリフはぐっと来た。