「公園、図書館、ジムで口開けて眠ってる老人・・・死んでるように見えて怖い!!」終わった人 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
公園、図書館、ジムで口開けて眠ってる老人・・・死んでるように見えて怖い!!
さすがJホラー監督!この老人の描き方だけは上手い。いつホラーになるのかと思ってゾクゾクしてしまいました。と、顧問役を任されたIT企業で社長の突然死。むちゃくちゃ怖かった。
多分、中田監督が悪いんじゃない。この内館牧子の原作を映画化しようとした企画自体が悪かったのだと思う。まずは人物設定がラガーマンで東大法学部卒、メガバンク就職、子会社出向の男・田代壮介。東大卒の頭脳を持ってる男だったらもう少し人生設計も考えたんじゃないかと思うが、何があったか知らないけど、そこまで我慢することあるのか?という疑問。
さらにストーリーも波乱万丈すぎる男を描いてあり、大学院を目指すとか、恋をするとか、顧問を頼まれてホイホイ引き受けるとか、そのまま社長になるとか一貫性がなさすぎる。これが東大卒じゃない世間知らずのおっさんならば許せるのに、ちょっとは考えてもらいたい。「所詮男はバカなんだから・・・」という発想なのだろうか・・・
しっかりしていそうでコロコロ態度が変わる妻の千草もわけわからない。一年くらいの間で離婚するとかしないとかの心変わりが激しすぎて、夫のために美容師を続ける姿も本当なのかと疑ってしまうほどでした。深読みすれば、絶対に男を作ってるだろうともとれるし、「恋をしろ」とかわけのわからない助言も謎のまま。本心は夫が大学院を目指すことを望んでたのだろうが、それならもっと意思表示を・・・顧問になるのだけは許してたのもおかしい。
「散る桜残る桜も散る桜」という良寛の辞世の句。そんな言葉を作中に選ぶことがすでに終わってる気もするし、この句が特攻隊員もよく使ったという点でも虚しさが残る。まぁ、借金を抱えて死ぬのも1億の貯金を保ったまま死ぬのも同じなんですがね・・・