「不思議な体験をした感覚」アトラクション 制圧 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
不思議な体験をした感覚
近年観たSF映画の中で、印象強い作品の1つが本作だ。クオリティの高い作品を多く製作するロシアだが、今回の軍事侵攻は残念でならない。冒頭で謎の物体がロシアに接近し、それが群衆のいる街に派手に墜落する。この墜落までのシーンはまさに本作の全てを表しているかのような強烈な印象を残す。それから派手な大戦になるのかと思いきや、意外にもヒューマンドラマへと身を転じる。ややイケナイ恋人と愛し合うヒロインと、軍司令部のその父親。エイリアンそっちのけで束縛的な彼氏から立ち去ろうとするヒロインの姿はどうでもいいわ!と突っ込みたくなるが、何故だかこれがまた面白いのである。
エイリアンの来訪というテーマでこちらがある程度予測する出来事を上回る展開だからなのか、溶け合っていない様で上手く溶け込んでいるイメージだ。
邦題のサブタイトルの"制圧"はどこから来たのか不明だが、宇宙船から救出した1人の男性を主人公が匿うというのが中心の物語になる、いわばSFドラマ的なジャンルになるのだろうか。それに加え、このままエイリアンに我々の土地を奪われてたまるかと立ち上がる市民の姿など、未曾有の災害における人々の葛藤、愛、攻撃性等を透き通るような空気感で見事に描いており、どこの国にもない独創的思考で突き進むストーリーは圧巻の一言に尽きる。
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