リズと青い鳥のレビュー・感想・評価
全136件中、1~20件目を表示
映像が《音》を支えている
映像とは目で“見る”ものだが、大抵はそこに音が付いてくる。セリフや音楽というだけでなく、効果音だったり、遠くから聞こえてくる雑音だったり、吹き抜ける風の音だったり。
この映画を観て驚いたのは、耳から入ってくる情報の多さと、その緻密で研ぎ澄まされた表現の豊かさ。決して絵が音に劣っていると言いたいのではなく、音で表現されているものを、絵や、セリフや、ストーリーが支えているように感じたのだ。ただ音楽にまつわる映画だから、ではない。例えば序盤では、ほぼ主人公ふたりの足音でシーンを引っ張ってみせる。その演出の強度に震えた。
こんな映画体験をほかで感じたことがあっただろうか。劇場で二度観てみたが、次はなるべく目をつぶって観てみたいし、その上で改めて耳と目でじっくり味わいたい。そう思うと、自宅の音響設備に自信がないので、いつまでも劇場でやっていて欲しい。傑作。
映像でないと表現できない何か
言葉で語れないものを語るからこそ、映像作品には価値がある。しかし、本当の意味でそれをできる人はそう多くない。この映画はそれが非常に高いレベルで出来ている。「名前のない感情」を描きたいと監督はいっているが、まさに名付けようのない何かを捉えている。無理に名付けた瞬間、壊れなそうな何か。
アニメは動きを追求するものだ。動きによって何かを表現する、というのは芝居で言えばパントマイムのあり方に似ている。ウォルト・ディズニーは新人アニメーターにキートンなどの芝居を見せて教育したらしい。
しかし、この映画の芝居は何か別の方向を向いているように思う。パントマイムで「喜び」を表現するなら「笑顔」を作る。従来のアニメもそういう表現になる。しかし、この映画は「笑顔」であっても、その裏には違う気持ちがあることを描く。生身の役者ではなくアニメーターが描く芝居にもそういうものがあるのか、と驚いた。
何度観ても新しい発見がある。すごい、本当にすごい。
本当に素晴らしい
淡い恋心を描いた儚い物語。
吉田玲子の脚本と牛尾憲輔の音楽と西屋太志の作画、そしてそれらを絶妙にまとめ上げた山田尚子監督作品。
彼女らの心をうつしたような音楽が本当に素晴らしい。
それと作画、特にアップの目の描写がすごい瑞々しいんですね。
できたら劇場でその音と光を感じたかったです。
素晴らしい作品でした。
黄前、どこ行った(笑) スピンオフなんですね。画調もなんだか違う。...
黄前、どこ行った(笑)
スピンオフなんですね。画調もなんだか違う。
百合のお話。リズかと思ったら青い鳥だった。地味だけど面白かった。
黄前、どこ行った?おったなぁ、ちょっとだけ(笑笑)
劇場でも観たけど
本編の時から希美が苦手。吹部への復帰の仕方(ひたすら、あすか詣で。それされたら部長や、退部した時にも副顧問だった軍曹の立場とか考えろよ)も自己中心的だし、退部するのを前もってみぞれに告げないのは兎も角、退部した事を言わないままって・・・・
でっ、そんな希美とみぞれメインの話。
単に演出の都合なんだろうけど、練習したいと言って退部した希美が映るシーン、同じパートの子たちとお喋りしてるシーンが多いのって・・・・外部指導の新山から音大の話をされたのがみぞれだけと言う事で音大受験も止めるし・・・面倒だなぁ。
と、より希美が苦手になった。
みぞれに「オーボエの演奏、(希美に合わせ)ブレーキ掛けてませんか」と言える麗奈凄いわw
でもどう考えたって…
最初の童話シーンの時点で「リズ=希美・青い鳥=みぞれ」だよね、と当然のように感じながら観始めたので、作中で本人たちが「リズ=みぞれ・青い鳥=希美」と見立てながら話が転がり始めたところで違和感が先行して入り込みにくくなってしまったし、満を持してそれが逆だったと気付く流れには、何を今更と(特に希美に対して)思ってしまって…。みぞれのことをの訥々と不思議っ子みたいに評してる希美さん、全体的に考え足りてなさ過ぎるし、結果としてやっぱり自分勝手なことになってるような…だからこそみぞれとバランスしてるということなのか…?
あと、中学時代の話を中心にやるのかと思い込んでたから現在進行形→未来の話だったのに少し驚いた。渋さで見せていくのは本編シリーズと通底というか、更に際立ってて、映画は綺麗ですごい。タイトルから響け!ユーフォニアムの文言を排して、タイトルだけで同じシリーズと分からない潔さも何気にすごい気がする。
繊細な映画
推しキャラがメインの映画ということで気になって観賞。
直接的な言葉ではなく仕草や表情からの感情表現が多く観れば観るほど新たな発見がある、するめ映画
思春期特有の繊細な感情がリアルに映し出されており幾度も胸が締め付けられた。
完全なる百合作品ではないものの限りなく百合に近い友情を取り扱った作品
理解と思い込み
理解しあっていると言う思い込み。その結果自分の事すら見誤る。影響し合うことは他者の影響だけでなく、自分自身にも影響を与えるのだな。
4月から響け!ユーフォニアム3が始まるのに合わせて初視聴。明日は特別編集版上映イベント、その前に誓いのフィナーレと連続して視聴した。
既存のシリーズと違った絵柄が新鮮だった。誓いのフィナーレで物足りなかった点が語られて、残された余白を少し埋めてくれた。連続して観るとその辺り面白かった。
のぞみとみぞれの心のヒダ。触れることが怖かったり、思わず触れたり、後悔したり。音楽は答えに近づく良いきっかけになった。そこから埋まる距離。その結果は誓いのフィナーレで描かれる。2本で1組と考えて良い作品だと思う。
この作品を受けてテレビシリーズ3期が始まる。楽しみでならない。
「響け!ユーフォニアム」のスピンオフだし観とこ、位のノリだったんだけど、すごい良かった!
「響け!ユーフォニアム」のスピンオフだし観とこ、位のノリだったんだけど、すごい良かったです
ユーフォ本編にも、部内オーディション課題曲だった リズと青い鳥 の、原作物語にも二人の関係がクロスオーバーして・・・と思ってたら、だんだん「あ、これって!」と思い出す自分がいた
響け!ユーフォニアム本編観てなくても大丈夫、
だけど、逆にもう一回見直したくなるくらい、切ない物語でした
二人の女子高生の青春
響けユーフォニアムのスピンオフ作品。作品を知ってないと内容はつかみづらい。作画はなぜか変更されている。
リズと青い鳥という物語と自分たちを重ねて話が進み二人の関係が交差する。
音楽で心理描写をうまく表している。
3回は観たと思う…
1度、何となく見て。いいな、と思って。
クライマックスのシーンは、表現や内容、よくわからず。
改めて見直して。
いい歳して、涙してしまいました。
これは、すごい。
もう5年以上前の作品ですが、テレビで何となく見て。
久しぶりに心に触れる作品に会いました。
描写がとにかく美しい
ずっと仲良くやってきた二人組の別れが「リズと青い鳥」という物語や楽曲に沿って、繊細な背景、人物描写のもと描かれる映画
変態的な作画のこだわりで京都アニメーションしていて良かったです 細かな演出への配慮も行き届いていてパスがしっかり繋がってる感じがして良かったです
ただ、考えさせるというか今一つでかい盛り上がりには欠けるなあと感じました
みずみずしく繊細、かつ豊かな時間が流れている。
「響け!ユーフォニアム 」というアニメのスピンオフ。自分は「響け!ユーフォニアム 」は観ていないので、本作だけの評価になる。
非常に完成度の高い作品で、日本のアニメはすごさをあらためて感じた。
本作は高校の吹奏楽部の物語で、フルートを担当する傘木希美と、オーボエを担当する鎧塚みぞれが主人公。希美は華やかで、みぞれは地味なキャラクター。
高校最後のコンクールで「リズと青い鳥」という童話を題材とした同名の曲を演奏することになる。この曲にはオーボエのソロがある。「リズと青い鳥」は、リズという少女のもとに青い鳥がやってくる。この鳥は、少女の姿に変身してリズと一緒に暮らす。しかし、やがてふたりの間に別れが訪れ、青い鳥は飛び立っていく、というもの。本作は、希美とみぞれの関係性をリズと青い鳥の関係性に投影して、どちらがリズで、どちらが青い鳥なのか、という問いを投げかけつつ、ふたりの少女の成長を描いていく。
希美は華やかではありながら、ややずる賢くて自分勝手なところがある。みぞれはずっと希美に憧れて後ろからついてきていた。
しかしながら、物語のある部分で徐々にその関係性が崩れていき、やがて反転する。この演出がとてもうまい。
監督の山田尚子は「映画 聲の形」や「平家物語」なども作っている。両方とも、美しい作画と、作中に漂うなんともいえないかすかな悲しみに似た感覚が特徴だと思う。ハッピーなシーンでも、どこか悲しみがある。もちろん「平家物語」は誰もが知っている文字通りの終わりに向かって物語が進んでいくのだから、悲しみの感覚が出てくるのは当然なのだが、それはそうとしても、山田尚子の作品にある悲しみの感覚にはある種の心地よさがある。
こういう悲しさが、本作の主人公ふたりの関係性が微妙に揺れ動く感じを魅力的にみせる一因になっているのではなかろうか。
本作の特徴としては、物語の最初に登校してから、映画の最後の下校のシーンまで学校から出ないというところがある。
時間軸としては、コンクールに向けて練習をしたり、進路を決めたり、といろいろなイベントがあるので、数か月は経っていると思う。ただ、制服はずっと夏服なので、二学期の一部を描いているのか。
学校の外のシーンは出てこないし、家族も出てこない。希美とみぞれの関係性と、童話「リズと青い鳥」を対比するためのシーンだけに絞られている。
学校から出ないという点では松田龍平の「青い春」もそうだったので、完全に斬新な演出ではないのだが、作品のクオリティを上げる意味では効果的な使い方だ。
本作では学校が、青い鳥をとじこめている鳥かごの役割を果たしているのだと思う。
「リズと青い鳥」の練習をしているシーンで、今までの関係性が思い込みだったことが判明し、それを希美が悟る一瞬が、この映画の頂点だ。
ここまでよくも地道に積み上げてきたものだと感心した。こういう作り方は、塩梅がとても難しい。山田尚子のような作風だからできたのだと思う。
日本は一時期優れたクリエイターがたくさん出てきた時期もあったけれど、最近はなかなか新しい才能が出てきていないように思う。
山田尚子はすでに新人ではないのだけれど、これからもっと大きくなっていくことを期待している。
これほど過小評価されている作品は少ないのでは。
あまり多くの人に見られていない理由は恐らく「響け!ユーフォニアム」のスピンオフ作品で、主人公格の久美子や麗奈が脇役に回り、代わって、 みぞれと希美に焦点が当たっているからだと思う。だから、「響け!ユーフォニアム」のファンでないと観ようという気にならないし、ファンである私も、作風が違うことと久美子が脇役であるという理由から長らく放置していた。
しかし、観賞してみてビックリした。アニメ全体でとは言わないが、このジャンルのアニメ映画の中でこれほどまでに、人間の内面、心理を映像で表現できた作品は皆無であろう。さすが京都アニメーション、というよりも監督の山田尚子がすごいのだと思う。
正直、私が男だからなのか、二人の友情関係と心理状態の推移を完全に理解することができたとは言えないが、それでも、観てよかったと本当に思える。
オーボエとフルートの可憐な輪舞
響け!ユーフォニアムのサイドストーリー。
監督はテレビシリーズ演出の山田尚子。
久美子たちの一つ上の上級生たちの親密な関係と、その葛藤が描かれます。
【ストーリー】
吹奏楽部のオーボエ担当の鎧塚みぞれと、フルートの傘木希美の二人は親友。
一度心が離れた経験から、孤立しがちなみぞれは希美に依存気味になる。
そんな中、劇中曲『リズと青い鳥』がコンクール演奏曲として選ばれる。
高い技術を持ちながら引っ込み思案なみぞれは、楽曲の中心となるソロパートを任されながら、どうしても自分を前面に出した印象的な演奏ができない。
みぞれの心配をする希美だが、「リズと青い鳥」のストーリーをたどるうちに、思い切れない彼女の繊細さに安心しているのは自分だと気づく。
みぞれと希美の関係を、劇中劇「リズと青い鳥」と重ねて見せることで、彼女たち自身に未来を選ばせる展開は見事。
京都アニメらしい繊細な日常描写と、山田尚子監督ならではの演技とカメラワークで、二人の少女の思春期の終わりを、鮮明に照らします。
多感な高校生活の陰りと輝きを鮮烈に描くユーフォシリーズでも、一風繊細な空気をはらむ今作。
完成度が高く、単体の映画としても楽しめるようになっています。
鑑賞後、二人と同じ気持ちになれたあなたには……ハッピーアイスクリーム!
全136件中、1~20件目を表示