「予想の斜め上を行く面白さ」ベイビー・ドライバー うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
予想の斜め上を行く面白さ
正直言って、『ワイルド・スピード』的なカーアクション映画を予想していたのですが、それよりもはるかに面白い映画でした。
ベイビーというキャラクターを生み出したことが、すべての成功の要素と言っても過言ではないでしょう。この不完全で、愛すべき天才ドライバーが見せるドラマは、爽快で、ウソみたいに早く、切なく甘く、ちょっぴり悲しいゴージャスなドラマでした。
耳鳴りを消すために、常に音楽を聴いていないと居られないという設定は、音のない環境で、精神崩壊を起こし、そこが致命的な弱点になるという、勝手なストリーの予想を斜め下に見下ろすほどの素晴らしい展開で、大満足です。
C.J.ジョーンズさんが演じたジョセフは愛すべきルームメイトです。彼は実際に聾者らしく、字幕付きの手話はセリフ以上に心に響く演技で、どうしてなのか涙が止まりませんでした。これは、映画を見た人にしかわからない感覚だと思います。
しいて言うなら、『レオン』を思わせる映画ですが、残念ながら、そのレベルには及びません。あれは特別な映画ですから。。。でも、『レオン』と比べてしまうほどの名作であるのは間違いありません。
例えば、銃声や、タイヤのきしむ音、車が衝突する音までが、流れる音楽に合わせて、リズムを取っているなど、面白い演出もあり、『俺たちに明日は無い』『フレンチコネクション』など、数々の名画へのオマージュを思わせるシーンもたくさん出てきます。そして、本当に躍動感あふれるロック・チューンの数々。使用曲40曲以上あります。理屈抜きに、最後までぶっ飛んで楽しめた映画でした。
早く続編が見たい!
平日の、レイトで見たのに満席(単館公開作品のため)で、パンフレットはすでに売り切れ、横が窮屈で、多少長めの映画だったので、くたびれました。全編音楽鳴りっぱなしなので、もっとゆったりとした状態で、リラックスして見たかったなぁ。。。