「イメージ」女は二度決断する ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
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私達が思う爆弾テロのイメージ。犯人はイスラム教徒で、原因は宗教対立や報復。しかし、そんな思い込みはこの作品でいとも簡単に吹き飛んでしまうだろう。
カティヤの夫ヌーリはトルコ人であるが、宗教的にも政治的にもノンポリであるように見える。しかし、ヌーリを殺したのは極右のドイツ人であり、また犯人に爆弾で報復したのも同じドイツ人のカティヤである。ファティ・アキン監督は、ドイツ人のテロリストとトルコ人のテロ犠牲者という世間の持つ一般的なイメージを裏切る作品を意図的に作ったのだろうか。
報復だって、決してイスラム教徒だからしているわけではない。どんな人種でも、どんな国籍でも、私も、もしかすると報復をする可能性がある。つまり、この作品は実に普遍的な話なのだ。世間では、テロリストはイスラム教徒というレッテル貼りを未だに続けている。
私もカティヤは報復をするわけがないと勝手にレッテルをはっていた。だけどカティヤが、爆弾を入れたリュックを握りしめているラストシーンで、爆弾を身体に巻いた中東の女性達が初めて重なった。その時、差別や偏見がある社会では、この瞬間は皆に等しく訪れるかも知れないことなのだということに気がついて、ハッと息をのんだ。
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