「【”少し浮いている”14歳男子二人のB級感溢れる(褒めてます)、一夏の休みで彼らが成長していく姿を描いたロードムービー。】」50年後のボクたちは NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”少し浮いている”14歳男子二人のB級感溢れる(褒めてます)、一夏の休みで彼らが成長していく姿を描いたロードムービー。】
監督は、”女は二度決断する:Aus dem Nichts”のあのファティ・アキンである。(ダイアン・クルーガーの哀しき姿は忘れ難い・・)
だが、今作は実に痛快なロードムービーに仕上がっている。(今作は、彼の作品の一年前に制作されていたようだ・・)
■登場人物
・マイク:級友からは変人扱いの、自分に自信のない14歳の男の子。同級生のタチアナが気になるが、彼女からはパーティーの声もかからない・・。お母さんは、ウオッカ好きのアル中(でも、明るい)。
・チチョフ(チック) ロシアの奥地から来た可成りおかしな転入生。(ロシアン系ノマドと後半一瞬だけ語られる。成程。)
髪型が独特。(北朝鮮のあの人の髪型を更に剃り上げたみたい・・)
やることが、とにかく桁外れにオカシイ。この人もタチアナから招待状が来ない。(結局、この二人だけ来なかった事が分かる。)
この二人が、夏休みにチックが無断借用した水色の小型ボロ車で、ひたすら南を目指す(ウラキアへ)旅に出る・・。
途中の廃棄物処理場で、浮浪者の少女イザと出会い、おかしな旅は続く・・。(あの、ガソリンを盗む件も可笑しい。)
■印象的なシーンは数々あれど
・山間の湖で、水浴びする三人の姿。そして、イザの髪を切ってあげたマイクに対して、”いきなり美少女”になったイザが掛ける言葉。
・イザが姉がいると言っていたプラハ行のバスに乗り込む前に、マイクにしたこと・・。
14歳で高速道路を(リチャード・グレーダーマンを聴きながら・・)ぶっ飛ばし(いけないなあ・・でも許す。)、様々な経験をしながら、徐々に”世間”及び”世界の大きさ”を知っていく二人の姿。
そして、高台の岩場で三人が岩に名前を彫り、マイクが二人に言った言葉・・。
<私は、君らのような不器用で、ちょっとおバカな少年たちの成長していく姿を鮮烈に描き出したロードムービーが大好きなのである。
とても素敵な風合いを醸し出している少年マイクの成長ロードムービーである。
あんな”凄い”経験をすれば、新学期にタチアナから”メッセージ”が来ても、靡かないよなぁ・・、マイク・・。>