「冠婚葬祭の時って、なんだか人の本音が透けて見えるよなあ……」おじいちゃん、死んじゃったって。 大塚史貴さんの映画レビュー(感想・評価)
冠婚葬祭の時って、なんだか人の本音が透けて見えるよなあ……
長編デビュー作となる森ガキ侑大監督が、脚本家・山崎佐保子とのタッグで紡いだ、ハートウォーミングなファミリーコメディ。今やオファーの絶えない岸井ゆきのの映画初主演作でもある。
祖父の葬儀に集まった家族が、その死を悲しむ余裕もないままに、葬儀の準備に追われるのだが、親族それぞれが抱える厄介な事情が明るみとなり、ひょんなことからそれぞれが本音を曝け出す。その描写が実に自然で、作り込まれていないところが尚良い。
葬儀だけでなく、時に結婚式など、親族が集う冠婚葬祭の場では、往々にしてそれぞれが抱える事情が透けて見えてしまう局面って多く見受けられる。極端な言い方をすれば、誰しもが何かしら経験しているのではないだろうか。
今作では岸井の周囲を光石研、岩松了、水野美紀、美保純ら経験豊富な面々ががっちりと固めることで、リアリティを感じさせないリアリティを体現しているところも一興である。
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