「実話としながら、モリモリ確定」ボブという名の猫 幸せのハイタッチ ビン棒さんの映画レビュー(感想・評価)
実話としながら、モリモリ確定
まず、薬物中毒者の主人公に同情心が湧かない。
元々の性格がどうだろうと、その性格を歪めるのが麻薬
現に作中でも麻薬に溺れてタヒんだ友人が描かれている。
薬中者は自滅するだけならまだしも、周りを不幸に巻き込む。
薬を手に入れる為なら、それこそ何でもやる。
家族や友人を犠牲にして金を作り、足りなくなれば犯罪にも手を染める。
場合によっては、相手を殺してでも薬を手に入れようとする。
そんな者を信用することはできない。
作中で薬中の友人が、一晩泊めてくれと主人公に頼むシーンがあるが、主人公は金を渡しただけで泊めるのは断る。
もし、泊めていたらその友人は、薬を買う金を作るために主人公の物を全て盗んだだろう。
そしてそれを知っているからこそ、主人公は金を渡すだけで助けなかった。
それにしても驚いたのは、イギリスの麻薬中毒者への対処方法
政府は代替薬でコントロールし、かつ最低限の生活費を稼ぐための公式チャリティとしての販売員制度を設けている。
一般の人は避けるでもなく、そのチャリティに協力している。
日本なら、同じような販売員制度を設けても成り立たないのではないだろうか。
そう考える理由は、宗教が大きく関係している。
キリスト教は許しの宗教。皆が罪びであり常に神に許しを請うというところから成り立っている。それは他者への許し、慈愛の精神というところに通じている。
とはいっても、ほどこしは 敬虔なキリスト教徒のみが持つ使命感であって、社会全体では受け入れる事で自らの免罪符にしているに過ぎない、と感じる。
日本では、日頃助け合いの精神がある反面、犯罪者などの脱落者へは冷酷だ。
路上生活者へ手を差し伸べる者は少ない。
自業自得の精神で、各々が自らの境遇を受け入れるという文化。
生活保護という制度がありながら、頼ることをよしとしない人が少なくない事がそれを裏付けている。
さて作品だが、優しい主人公が、たまたま懐いた猫とチャリティで人気者になったとするのは、どうも胡散臭い。
猫と活動すると通行人のウケが良かったので、途中からは完全に利用する気持ちはあっただろう。それを題材に出版社が盛りに盛って本人名義で著作した、というところが垣間見えて、好意的に受け取れない。
調子に乗ってシリーズ第2作まで作っているのも、印象が悪い