「超リッチな、少年バトル漫画」バーフバリ 王の凱旋 JIさんの映画レビュー(感想・評価)
超リッチな、少年バトル漫画
カッタッパが暗殺を働いたことを明かしたところから、その話の続きが語られる。後半、経緯を知って怒ったマヘンドラがマシュマティの王座を取り返す。
前作、「伝説誕生」と響き合うシーンが多く、二つで一つの作品になっているように思う。そう見ると、一見バランス悪く配されているように思われるアマレンドラ・バーフバリの話が、ちょうど全体の真ん中に来ていることが分かり、自然な構成に感じられる(?)。
表現については、きっぱりとシーンの意味を表していて、言ってみれば、少年漫画的だ。注目すべき人物をグッとアップにしたり、動きに音楽の強い音が合わさったりしていて、まるで集中線が見えるような、分かりやすい強調の仕方だ。
空を飛んだり、矢が全て正確に当たったりするなど、あり得ないアクションシーンなどは、昔読んだコロコロコミックのバトル漫画を思い出した。こんなヒーローいたら面白い、ワクワクするという素直な発想が形になっていると思われた。少年向けバトル漫画を実写とVFXでめちゃくちゃリッチに仕立てたような感じ。もちろん、だからといって既視感はなく、戦闘シーンのアイディアにはオリジナリティが溢れ、驚かされながら観ていた。
スローの多用は、戦闘のとりわけカッコいい一瞬を、一枚の絵として見せているようで、これも漫画っぽいと言えなくもない。砕けた木の破片や、飛び散った血が宙を舞っている瞬間のスローは、立体感が強調されて迫力がある。
不満ではないが気になったのは、マヘンドラ・バーフバリの王としての資質。父のアマレンドラの優れた点は、武力に加えて知性と慈悲があった点だが、大した教育も受けてないマヘンドラがいきなり王になって大丈夫なのかと、やや不安になる終わり方に感じた。彼はどちらかというと情動的で短絡的、戦略も野生的な閃きな気がする。
あと、個人的に見たかったのは、カッタッパの高速の剣アクション。前作でチラッと見えていたから、ちょっと期待していた。アヴァンティカとの恋愛も大して完結していないように見えて、マヘンドラの方の話はもっと観たい気がする。エンドクレジットが短くて、もう少し余韻が欲しくなる。欲張りではあるが。
とはいえ、終始、全く飽きることなく観れた。静かに鑑賞してるとウズウズする。「ヘイサッ、ルッダッサッ」とか、歌いたい…!