劇場公開日 2018年2月3日

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「厳格な非寛容が人間の尊厳を損ねることについて」ローズの秘密の頁(ページ) 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5厳格な非寛容が人間の尊厳を損ねることについて

2018年2月12日
iPhoneアプリから投稿

同じ宗教でも『光をくれた人』は〝赦し〟について考えさせられましたが、本作は厳父的な〝非寛容〟について語られているように受け止めました。

教義とか聖書の解釈の一部が、元々は人間の勝手な思い込みであったとしても、それが神や教会という権威を背景に定着すると、人間の尊厳を損なう行為でも正当化されてしまうことがある、ということだと思います(もしかしたら〝人権〟という概念もそのような宗教的な大義名分への危機感からキリスト教社会で生まれたのかも知れません)。
戦時下の日本でもそれは起きたし(非国民と見なされれば人権はなかったわけで)、現代社会に置き換えれば、会社とか学校という組織のルールや業績目標なるものがひとたび権威を持ってしまうと一部の勘違いした上司や先生が弱い立場の部下や生徒の尊厳を傷つける行為を、良かれ、と思ってしてしまうこともある、ということですね。

なんでもかんでも、信念、という言葉に依存して(酔い痴れて)自分を語ったり、説教する人がたまにいますが、信念に反することは赦さない、という非寛容さと裏表の関係ということですので、そのような人には用心した方がいいかもしれません。

グレシャムの法則