米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジローのレビュー・感想・評価
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不屈の人
戦後の沖縄史の一面であるが、カメジロー(瀬長亀次郎)がかくも不屈の民主運動の闘士に育まれたのか、映画では「うるま新報」(後の琉球新報)の社長となって以降の足跡だが人格形成の礎となった生い立ちから知りたくなった。
掘り下げが足りないのは昔過ぎて追えなかったのか、テレビの事件報道志向の弱点なのだろうか、ネットで調べてみると生家は貧しい農家で父は彼が幼少の頃からハワイへ出稼ぎしていたと言う、そんな境遇にもかかわらず医師を志して東京の順天中学に編入できたのはハワイへ呼び寄せるため父の送った船賃だったのか、父についても不明なことが多い、また若い頃から社会主義運動に染まり旧制七高(現鹿児島大学)の退学処分や治安維持法抵触で投獄もされている。
同郷の共産党の重鎮徳田 球一の影響もあったのだろうか。徳田は「沖縄は少数民族であり歴史的に搾取、収奪され続けた民族である」と言っていたがマッカーサーは逆手に取り沖縄を日本から分離統治する口実に使われたのは皮肉である。瀬長の主要な戦法となる組織化の重要性と方法はかっての共産党から学んでいたのだろう。読売のナベツネも数の力学を共産党時代に学んだとテレビで言っていた。
中国での兵役も経験し人種を問わず人間の残虐さ、不条理さは肌で感じていたに違いない、復員後は沖縄で新聞記者となり映画へと続く・・。
アメリカの掲げる民主主義とは名ばかり、沖縄の軍部による統治は圧政を極めたが、兵士に理性など通用しないのは万国共通、もし北方領土に攻め入ったソ連軍に占領されていたとしたらアメリカよりましだったとは思えまい。民主主義国家、法治国家を標榜するというアメリカ自身の痛いところを突いたからこそ本土復帰を勝ち取れたのだろう。
当時の機密文書、アメリカの不都合な真実が辿れてしまうのもまたアメリカの民主主義の底力なのかもしれない。
沖縄問題をアメリカに責任転嫁しているが占領直後ならいざ知らず復興を遂げる本土の陰で辛酸を舐めたであろう沖縄に今なお基地負担を強いる現状に今更ながら胸が痛む。
隙あらばと自国の覇権拡大を目論む輩がいる限り薔薇色の解決策など簡単に見つかる訳ではないのは分かっているが真に恥ずべきは本土の人々の無関心だろう、硬派なドキュメンタリーにもかかわらず、あえてコミカルなタイトルを冠したスタッフの英断に拍手を送りたい。映画を通じて沖縄について、ひいては人間社会を考える若者が増えることを願ってやまない。
返還と残留
評価は、他の方に任せます。
ドキュメンタリーとは、真実の記録である。そこに嘘があってはならない。映画という
媒体でドキュメンタリー作品を制作するのは非常に難しいものと思われる。一民放の一
アナウンサーが制作するのはかなりの挑戦である。皆が多少知っている人物であれば、
それも何となくどんな人物であったが、多少の予想はつく。しかし先の戦争で、日本が
どこの国と戦ったのか。そして日本は敗けたのか勝ったのかどうかも判らない人間にとっては、「瀬長亀次郎」という人間の存在にスポットを当てても何のことやら?????
監督自身の亀次郎という存在を伝えたいというのであれば彼が残した『叫び』、それを
知ってもらいたいという監督の『情熱』がもっともっと、もっとスクリーンから伝わって
くれたら良いなと思いました。そこがいまひとつだったのが、残念でならない。
ドキュメンタリーは、ナレーションが中心で、そのナレーションにあまり抑揚がない。
今回の作品では、過去の亀次郎の写真を要所要所に起用をしているため、睡魔との戦いで
苦痛であった。ナレーションに山根氏を起用したのは良かったが、NHKにおいては『映像
の世紀』、民放においては『半沢直樹』で上手く活用されてはいたが、今回それをうまく
活用されてはいなかったように思われる。
しかし、佐藤栄作と亀次郎とのやり取りの場面は、緊迫感があり良かった。しかし、この
場面は監督自身が培った編集力ではないように思われる。
これからの沖縄は本土復帰したが、未だ米軍基地残留という難問に対峙する人物、亀次郎
に次ぐ「不屈」の精神で米軍から恐れられる人物は現れるのだろうか。北朝鮮が騒がしい
昨今、米軍基地はどうなるのだろう。という将来への不安は、やはり残る。
※題名については『その名は~』要らないと思う。
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