「希望を宇宙へ飛ばせて」きっと、いい日が待っている KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
希望を宇宙へ飛ばせて
躾と称した暴力的・性的な虐待、同調圧力と見せしめ、大人への絶望感、僅かな希望も抵抗も踏みにじられて「幽霊」になるしかない子供達の虚ろな目が本当にキツかった…
校長始め施設の大人達にはもう殺意しか湧かない。
あの眉毛と髪の毛の無い頭をかち割ってやりたくて仕方なかった。
唯一希望になりそうなハマーショイ先生も逃げ出すし頼りない。
終盤は力になってくれたとはいえどう考えても行動が遅すぎるでしょ…施設辞めた直後に警察なり検査官に通報するべきでしょ…
叔父も中途半端野郎で腹立つ。まああんな人に引き取られたところで幸せにはなれないだろうけど。
最低な環境の下、施設を出ることだけを希望に「幽霊」になって頑張り、宇宙と月面着陸に夢見る兄弟にまた苦しくなる。
読み書きが得意で想像力に長けたエルマーが手紙を読むシーンなんて健気で愛おしい。
弟想いなエリックが酷い目に合わされてからのエルマーの覚醒とも言える行動には胸が深く打たれた。
アルミホイルと麻袋でできた宇宙服を着た彼の最大の抵抗と計画、校長の車を破壊して殴られて、身体を張って自分が何よりの証拠だと検査官に訴えて。
空は飛べないけど頑丈な身体で良かったよ…
最後の最後で、検査官に個人的に話がある人は?との問いに挙手し始める子供たちには大泣きしてしまった。
ずっと辛く苦しいことが続いていたけど、明確な救いの見えるラストに大きくホッとできる。
これからは、きっといい日が待っているからねと抱きしめたくなる。
実話ってのがまた辛い。
施設にいた子供は今でもトラウマを抱えて精神的に苦しんでいる人もいる、とのこと。
良い最後だったけど、施設の大人がきちんと罰せられたのかは気になるところ。
個人的には刑務所で苦しむ校長と変態親父を見ないと気が済まないくらい。