「モニモニ」坂道のアポロン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
モニモニ
食堂喫茶ライムライトに行ってみたか~などと思いつつ、彼らのジャズに対する情熱に目頭が熱くなってしまった。境遇は違えど家族の中での疎外感は同じだった薫と千太郎。ピアノとドラムだけのセッションもさることながら、律子の父(中村梅雀)がベースで参加し、東京で学生運動をやっていた淳一(ディーン・フジオカ)のトランペットが入ってくると音楽的完成度がさらにアップ。セッション・・・すごい。プロ級。
音をぶつけ合えば気持ちは伝わる。これこそインプロビゼーションの神髄だ。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの「モーニン」は60年代に日本にもジャズファンを増やすきっかけとなった名作ではあるけど、ビッグバンドよりもシンプルな楽器の構成の方が心地よい。あらためて気づいた。そんな「モーニン」は当時そば屋の岡持を持ったあんちゃん達も口ずさんでいたという話をラジオ番組で聞いたことがあります。
そして『サウンド・オブ・ミュージック』の中の名曲「マイ・フェバリット・シング」も数多くジャズメンによって演奏されているけど、この曲で小松菜奈演ずる律子の心にも繋がり、一体感が増してくる。学園祭においてタイガースもどきのバンドからいきなりの二人のセッションには震えが来たほどだった。ただ、クラシックで培ったピアノの才能が多彩なテンション含むコードで弾くのはやりすぎだけどね・・・
教会とか神父というのも「モーニン」に合っている。朝じゃなくて嘆くという意味のmoaning。作曲者のボビー・ティモンズは牧師の息子であり、ゴスペルの影響を強く受けているのもうなずける。
好きだとか嫌いだとか、危うく脆い三角関係も好きな音楽が続けられるのなら演奏の瞬間は吹き飛んでしまう。そんな彼らのジャズ心にはのめり込んで見てしまったが、ストーリーは予測可能。だけど事故までは予想できたけど、ラストはちょっと意外。ラスト、息を飲み込んで何かを叫ぼうとした小松菜奈が発した言葉は??と気になるところでエンディング。「大好き!」だったと想像するが・・・
全編通してアフレコというのが欠点といえば欠点。結局、演奏もアフレコでプロがやっていることもわかるからそうしたのだろうか・・・そして、アポロンの意味も音楽の神だとか美大生百合香の説明だけでしたが、調べて見ると医術の神とも言われているようで、そこんところをもっと絡ませてくれれば尚良かった。
kossy さん
高評価ありがとうございます。
私の好きな映画の一つです。
小松菜奈と他二人。三人の青春がきらきら輝いてそこにジャズが最高のスパイスになっています。
時々…ジャズのセッションを聴きたい時は観たりしてます。