「老夫婦の珍道中が誘う深遠なテーマに泣かされるイタリアンなのにアメリカンなロードムービー」ロング,ロングバケーション よねさんの映画レビュー(感想・評価)
老夫婦の珍道中が誘う深遠なテーマに泣かされるイタリアンなのにアメリカンなロードムービー
元大学教授のジョンと妻エラは子供達に何も告げずにキャンピングカー”レジャー・シーカー号”でヘミングウェイの家があるキーウェストを目指して南へ南へと旅に出る。それぞれアルツハイマーと末期ガンに冒されている二人はようやく手に入れた二人きりの時間をゆっくり楽しもうとするが、ジョンのアルツハイマーが見る見る進んで道中はしっちゃかめっちゃかに・・・というコミカルなロードムービー。ヘレン・ミレンとドナルド・サザーランドという名優の軽妙な演技で場内は何度も大爆笑。この二人がもうとにかくキュートでしょうがないわけですが、テーマそのものは非常に深遠なので爆笑の合間に鼻の奥がツーンとしっぱなし。そしてとても静かなクライマックス・・・これはもうさめざめと泣きました。
70代夫婦の寄り添う姿、死への向き合い方、全編70' sカントリー&ポップス主体のサントラ、おそらくフィルム撮影だと思いますが温かみのある淡いトーンの映像、れっきとした現代劇なのに日曜洋画劇場で観ているような懐かしさが満点。なにげにイタリア映画なのでその辺りもアナログ感を醸している理由かも。とにかく二人の演技が素晴らしい大傑作です。
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