「東海岸のロードムービーでもある」ロング,ロングバケーション ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)
東海岸のロードムービーでもある
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元大学教授だが現在はアルツハイマーの夫と末期がんの妻が、最後の旅行でボストンからヘミングウェイの家があるキーウェストまで1号線をキャンピングカーで南下。大学教員になった長女との電話では久々に正気に戻って娘を讃えたり、時々は昔の知的な夫になるものの、おもらしするし何言っても覚えてないし世話が焼けるばっかりの夫だが、持って来たスライドを上映して、これまでの結婚生活の思い出から、少しでも記憶を呼び起こそうとする。でも教え子の女性に会った時にはアルツハイマーの気配を見せずかつての皆から尊敬される教授っぷりに、それはそれで気が悪かったりして、必ずしも夫に盲目的に添い遂げていたとは言えないみたい。老夫婦ならではの珍道中で、しまいには記憶が混濁した夫が不倫を白状してしまう。
しかしこのドライブは単なる現実逃避でも思い出旅行でもなく、知的な二人の最期の結論だった。
知的な人ほど認知症になった時のギャップが激しく、老いの悲しさを考えさせられる。
この夫婦の長女と長男は少ししか出てこないが、家族関係の複雑さを表してもいる。
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