「実に面白い、優良な作品」ザ・サークル A.Camelotさんの映画レビュー(感想・評価)
実に面白い、優良な作品
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現代の情報化社会の問題をいろいろな角度から考えさせる優良な作品。民主主義と全体主義、プライバシーと透明性、企業と国家、個人的自由と社会的束縛、議員と有権者、税金と個人資産……。真の民主主義の実現と言いながら実際には全体へ行動を合わせるよう強要され全体主義化していく様は興味深くかつ恐ろしいものだった。ある意味、ファンタジー映画のブレードランナー2049より哲学的で近未来SFだと感じた。
キャストが素晴らしく、グレン・ヘドリーにまた会えて良かった。不覚にもビル・パクストンはエンドロールを見るまで気づかなかった。二人とも亡くなってしまって本当に残念。アニー役のカレン・ギラン、「マネー・ショート」で観てたとは気づかずだったが、なかなかうまくて今後に期待。ジョン・ボイエガはスターウォーズの時より爽やかで感じ良くなってちょっと見直した。トム・ハンクスが狡猾な企業トップを演じるのは珍しくて面白かった。彼のプライベートや悪人ぶりがさらされる所まで描くともっと面白かったと多分誰もが思うだろうが、それだとトム・ハンクスが承知しなかったのだろうか。
ひねりがないとか展開が遅いというレビューもあるが、それによりかえっていろいろと考えを巡らす余裕があったので、いい感じに脳を働かすことができたと思う。そう言えば、サークル社の社員向けプレゼンがこの映画の観客に向かってなされるように撮られていた。丁度観客が社員になったように。それも観客に考えさせようという意図だったのではないだろうか。秀作だ。
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