「本当に怖いのは疫病か人間か」イット・カムズ・アット・ナイト とえさんの映画レビュー(感想・評価)
本当に怖いのは疫病か人間か
面白かったなぁ
極限状態で表れる人間の本質
この世で何が怖いかって、人間が一番怖いんじゃないのと思ってしまう作品
謎の病気が蔓延する世界
森の中の一軒家で暮らす
父、母、息子と犬一匹の家族
ある時、一人の男性に
「水を分けて欲しい」と言われ、
その男性家族と共同生活をすることになるのだが…
日本で現在「水道を民営化するかどうか」が話題になっているけど
将来的には、人々は「飲み水」を求めて争い合うだろうと、よく言われている
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のように
この映画で描かれるディストピアでも「水」が重要な役割を果たしている
食料を持つ家族と、飲料水を持つ家族が共同生活を始めるにあたり
上位に立つのは、飲料水を持つ家族
しかし、共に生活するうちに
「自分たちの聖域を奪われるのでは…」と疑心暗鬼になっていく
そこで人は「他人に対する寛容さ」を求められる
しかし、現実として、人は、どんどん疑心暗鬼に、どんどん狭量になっていく…
人は、ルールを作り、それが守られている間は安心して暮らしているが
それが破られた瞬間、平常心を失ってしまう…
その時、人間の本質が表れる
「外で何が起きているのかわからない」という恐怖が、人を不安にさせ、平常心を失っていく
この映画で描かれている恐怖は
ゾンビでも、疫病でもなく
人の心に潜む暗闇(ダークサイド)なのだと思った
それ<人間の狂気>は、世界が静寂した夜中にやってくる
まるで舞台劇のような密室劇で展開する異色のホラー
一味違う作品を求めている人にオススメの作品
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