あゝ、荒野 後篇のレビュー・感想・評価
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ボクシングのシーンは良かったのですが...
前編から日が経ってしまいましたが漸く後編を鑑賞する機会に恵まれました。前後編通じて新宿新次(菅田将暉)とバリカン健二(ヤンイクチュン)の熱演がとても光った作品でした。ただ、前編でボクシングを通じて心を通わせてゆくこの二人が、後編に入ってバリカンの心変わりで変質して行く。原因となる事象は作中に一応描かれてはいるのですが、私には今一つ分かりにくかった。結局あの結末にはモヤモヤ感ばかり残ってしまい残念でした。また、原作が50年前の小説なのである程度時代設定を変更せざるを得なかったのは理解出来ますが、数年先の近未来を舞台に移した効果はドローンの場面以外余り無かったように感じました。狂信的な学生同好会や反政府学生デモ(+爆発)の場面は原作にあったとしても、この作品に本当に必要なものだったのか、私的には疑問でした。
冷静と情熱の間
ヤンイクチュンも菅田将暉も、ユースケサンタマリアもでんでん、モロ師岡も出てる俳優さん皆素晴らしかった。キャラの人生を背負ってたと思う。
だけども、二人の人生をこれで描ききったのだろうか?
後半怒涛の展開で二人が違う道を選びまた交わる、僕の大好きな展開なのだけど、こうじゃない!まだまだやる事あるのでは?と熱いボクシングシーンを観ながら冷静な自分がいた。
前編後編通して、やはり自殺撲滅フェアや徴兵デモはいるのか?と思ってしまう。2人の物語とあまりにもかけ離れてる気がして、観たいのはそこじゃないという気持ちと、この時間で2人の結びつきをもっと魅せれたんじゃないかという気持ちでいっぱいだった。
全てが最後の後楽園で繋がる演出がとても良くて、なのに娘と母は交わらない演出がたまらなかった。
それだけに、裕二と新次と先輩の話、ケンジへの想い、その後と描ききれてない感も多々あった。
ヤンイクチュンも「息もできない」を全く感じさせない演技で素晴らしいなと思ったし、菅田将暉の目と声は未だに焼き付いている。
欲を言えば2時間半で一本の映画に、もしくは10話くらいのドラマで観たかった。
ドラマ版4~6話の感想
新宿って魅力的だなと思える映像の連続で、非常に満足。
前半に比べ笑える要素が少なく思ったので、面白味をもって見ていた人間模様がどんどん辛いものに映ってきて、作品への興味が徐々に新宿とかボクシングへと傾倒していくように感じた。
終幕に向けてボクシングに収斂していく展開を強く感じたけれど、あまりにも強引なような印象で、あまり入り込めなかった。
終幕を迎えて、作品の魅力的な部分がすべて見失ってしまった印象。そうはいっても、映し出される新宿は、人の一生が終わろうとも、どんどん移り変わりながら末永く残っていくのだろうというイメージは持てた。もっと新宿というものを欲してしまったところが良かったのか悪かったのか微妙なところ。見終わった満足感はないけれど、何か強く心に働きかけてくる作品ではあった。
歴史に残る名シーン
因縁の戦いで得たものは、友情の消失でした。
プロボクサーとしての試験に合格し、ライセンスを取得したシンジとケンジ。
過去に消えた仲間のボクサーとの対決に燃えるシンジ。
対するケンジは、なかなか芽が出ず伸び悩み続ける日々…。
対照的な二人ですが、試合の日は刻々と迫っています。
「目の前にある相手をとことん憎め」とコーチから言われ、眼光鋭く睨みつけるシンジ。
しかし、ケンジは見ず知らずの相手を憎むことなんてできません。
それでも戦わなくてはならない現実の中、ある日ケンジは自分の親がシンジの親を殺していたという事実を知ってしまうのです。
ボクシングで成長しようと頑張ってきた仲間が、知り合ってはならない被害者の遺族だったとしったケンジ。
忽然とジムから姿を消した彼は、皮肉にもシンジとの試合を組んでもらうのでした…。
シンジからひたすら殴られるケンジ。
その姿は、亡霊のような死人のような、ただそこに立っているという虚無な存在。
自分という存在をこの場から消し去ってしまいたい気持ちが、ひたすら殴られるという皮肉な現場へと成り替わりました。
血みどろの試合の中で、二人は何を思っていたのか…。
表情でしか答えを見出せない所が、もどかしく深い世界を描き出していました。
韓国のヤン・イクチュンさんも、菅田将暉さんも演技の入れ込み方が凄まじかったです!
体作りを行い、プロのボクサーのように減量、増量しながら挑んだ撮影に驚かされました。
血みどろのドロドロした映像は、どこまでが本気でどこまでか演技なのか分からなくなってしまうような壮絶な映像でした。
まさに、底辺からのし上がって生きる、男と男の戦いの記録がここに描かれています。
菅田将暉さんとヤン・イクチュンさんに拍手です。
多分、前編後編を通して見ると感想は変わると思いますが・・・・
前編を試写会で見てよかったのでやっと後編を見る事が出来ました。
しかし、前編を見てから約2か月経っていたので、前編の細かい事などを大部忘れていて、後編を見ているうちに、徐々に思い出すって感じで、出来れば、前編と後編は一気見すると感想は大きく変わると思います。
前編の感想通り、出ている役者さんは素晴らしいし、ボクシングシーンも素晴らしいし、ある意味異次元性も上手く出来ているので前編同様に見応えは十分あるのですが、後編は、前編に比べてヘビーな作品になり、作風が急に重くなってくるかな・・・・
前編の乾いた感じが良かったのですが、後編は更に渇ききってしまったので、ちょっとヘビーだったかな・・・・
しかし、後編を見る限り、前編後編を合わせてもこんな尺の長い映画にしなくても良かったかな・・・・
多分、前編後編を通して見ると感想は変わると思いますが・・・・
タイトルの「あゝ、荒野」って、きっと、人間生まれた時から「荒野」をさまよい、喜怒哀楽を経験して死んでいく事を意味しているのかなと思いました。
木下
私はあなたとは繋がれない。あいつ俺と繋がろうとしているって話。大久保の高架脇を走る2人と、何度かある濡れ場が良い感じ。すごくちゃんと撮ってる。対して、試合シーンはかったるい。演技の話しじゃなくて、撮り方の話。木下あかりは、柳愛理の雰囲気で、すごく新宿的。新宿、311、2022、介護、自殺、テロ、徴兵制、角海老ジム。新宿と角海老以外は、いらない感じ。寺山の原作はどこまでだったんだろ、どもり、新宿、母親、デモ、爪をピース缶にあつめてる父親くらいまでじゃないのかしら。高橋和也が効いている。菅田くん、ヤンイクチェン、ユースケはあたりまえに素晴らしい。愛のむきだしとか、ヘブンストーリーに近い時間の使い方は乗れない。真利子君のイタイ感じになってない。
その先はご想像にお任せします。
ボクシングはスポーツ
憎しみ 孤独から→「繋がりへ」 命懸けの戦いに泣いた。 これは最高...
残念…
ノーリアル
前編をあっさり超えてきた
熱き前編から、期待高まる後編
☆☆☆☆ ボクシング同様に競馬を愛した寺山修司だけに。冒頭には、前...
☆☆☆☆
ボクシング同様に競馬を愛した寺山修司だけに。冒頭には、前編でのオルフェーブル(勿論、寺山修司本人は知らない。しかし、生きていれば必ず寺山は愛したであろう。)に代わり、血統の話から始まる。
競馬に於いて血統の重要性は高い。
どうあがなっても、地味な血統馬が良血馬を凌駕する事はなかなか無い。
言ってみれば、競馬は血統が全てを決める…と、言っても良い。
だが!…。
そんな競馬の世界に於いて、時折とんでもない奇跡が起こる。
それが今では伝説となったオグリキャップで有り。僅か数百万円の取引から、10億円強(確か…)を稼ぎ出したテイエムオペラオーでも有る。
登場人物の1人で有る芳子は。過去を清算したいが為に、辛い時期に自分が身に付けていたモノを海に捨てる。
しかし無情にもソレは、また元通りに浜にうちあげられてしまう。
まるで血統とゆう運命に逆らう事を嘲笑うかの様に…。
この作品に登場する主な人物達は。全員が【親子】とゆう運命の糸に操られ、苦悩する。
未だに原作は未読では有りますが。寺山修司が原作を書いたのは60年安保闘争の真っ只中。おそらくそんな学生運動に奔走した学生達と共に、社会の底辺に生きる人達を、寺山本人が慈しむかの様に書かれていたのではないだろうか?と思う。
何しろ、登場人物達の殆どがどん底に近い生活をし、生きる人達なのだから。
理想を追い求めながらも、志し半ばで夢を打ち砕かれた、数多くの学生達に対するレクイエムの様な心境で…。
時代設定を、現在から5年後に設定されている為に。当然の様に、当時の社会情勢と5年後の近未来とでは内容的にも変わって来る。
それだけに、当時の学生運動の〝熱さ″は画面からは、残念ながら伝わっては来ない。
この辺りの描写は!どこか中途半端に感じてしまうので、批判されても致し方ないのかなあ〜…とは思う。
そんな登場人物達の多くは、社会の変化になかなか順応出来ない。ほぼ全員がただ流れに身を任せて生活している。
そんな中に有って、たった1人だけバリカン健二は自らの殻を破る。
遂に覚醒するバリカン健二。
そして運命のゴングは鳴る!
縦軸にはボクシングを通じての男の友情を。
横軸には理想の夢を打ち砕かれた学生達の想いを。
更には社会の底辺に生きる人々に優しい目線を向けた寺山修司の想い。
そんな中にあって寺山修司は。ひっそりと、男同士の同性愛にも優しい目線を向けていたのではなかろうか?
決して寺山修司自身が同性愛者だった訳では無く。当時の社会通念が、そんな描写を許さなかった為に。マイノリティーの人達に対する優しさを込め、ひっそりと…。
(2017年11月3日 イオンシネマ幕張新都心/スクリーン10)
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