「作りが負けていた」狂覗 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
作りが負けていた
トラウマ抱えた若い男、リーダー気質の男、調子者で迂闊な男、理想に縋り続ける女、暗い変わり者の女、
ワンシチュエーションスリラーにありがちなキャラ設定も、全員教師ってだけでなんか少し変わって観えるのが面白い。
ストーリー的にはそこまで悪くないんだけど演出や作り方が酷すぎて面白さをことごとく潰していた。
ホームビデオ並みのカメラワークにカッスカスの画質、見るに耐えない顔面どアップ、たぶんアフレコなんだろうけど節々聞き取れない台詞…
現実と混ざり合う回想シーンももっとスリリングに出来そうなものなのに、安っぽい色調加工と変なテンションの演技で台無し。
トークショーで低予算と過酷な撮影をアピールしていたけど、それ以前に本当に面白い社会派エンターテイメント映画を自称するなら、限られた条件の中でも映画として最低限綺麗に観れるものに仕上げて欲しかった。
演出は最悪だけど、教師五人による掛け合いと物語の進み方、何よりハイテンション気味だけど絶妙な絶望感のあるラストは好き。
だんだん見えてくる本性と真実に期待感は出てくる。
話が進めば進むほど谷野の精神が弱すぎるのには笑えた。
自分でも言ってるけど、貴方がそこまでトラウマ抱えて苦しむ要素も必要も無いよ…
最初はなんだか嫌な女だった橋本がいつの間にか常識人っぽくなってたのはもはやお約束かな
幼稚すぎる教師達を観てると、人間歳を重ねようと立場が出来ようと 本質はいじめっ子いじめられっ子の中学生と何も変わらない、むしろ体裁やしがらみが関係してくる分子供よりタチ悪いなと思えた。
この映画の五人は極端にも思えるけど、自分含め人間なんてそんなもんだよなー。
過剰ないじめもSNSでのやり取りも教師の横暴も、考えれば考えるほど嫌になるけど面白くもなる題材なので、作りをしっかりしてもう少し楽しませて欲しかった。