彼女の人生は間違いじゃないのレビュー・感想・評価
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やっとはじまる
元カレとの別れやなぜデリヘルはじめたのかとかは、明らかにされておらずモヤモヤしました。
が、そこがリアルなのかもしれないなと思いました。
ほんとうは彼女たちもいまだわかってない。自分をコントロールできないくらいの大きな傷を負っていたんだなと。ずっとトンネルから抜け出せないまま長い時間経っちゃった。
それが震災経験者しかわからない闇なのでしょうか。
この映画観て、あれから6年目にしてこんなことをぼんやりと感じました。
今更ながらはずかしい。
光石さんが自宅に帰るとこや船のシーン涙がとまらない。
あと街の景色は言葉が出ない。涙しか出ない。でもなんでだろう。気のせいかもしれないけどニュースで見たよりも、廣木さんの愛なのかやさしさなのかわからないけどフィルター越しにうすーくフワーッと綿がかかったような愛を感じました。残酷でいたたまれない景色であることに違いはないけど、ニュースで見た景色よりあきらかに愛で覆われたようなそのような町並に私には見えた気がしました。
終わり方もハッキリした解答はないですが、私は一歩踏み出したと思いました。
また立ち止まるかもしれないし、引き返すかもしれないけど、彼女や彼たちは小さな一歩を踏み出したように思います。
6年が経って、この映画を撮ろうとした廣木さん。尊敬しかないです。忘れてしまいそうになっていたバカな自分ですがほんとに観てよかったです。
その時どうするか
同じ境遇におかれた時
自分ならどうするか。
付き合えるかどうか
タイミングを図っているとき
彼女の秘密の職業を聞いて
抱けるか。
生活が成り立たなくなり
家族を養うために
体を売れるか。
エンディングからは
この生活からの脱却が描かれる
ことはなく残念でした。
彼女の人生は間違いではないと
現況を肯定してしまうには
悲しい話。
廣木監督! 心を揺さぶられる作品をもっと残して下さい。
廣木監督作品を初めて拝見させて頂いた。
監督の東日本大震災への思いが、ギュッと詰まっていると感じた。
観ていて、初めて最初から興奮した作品だ。大変素晴らしい清々しい作品に出逢えたと思う。
ただ、最初の桜並木の場面が最後まで焼き付いて離れなかった。あれは何を言わんとしているのか?いまいち消化不良気味。みゆきが三浦の下で働きたいという熱意の見せ方が、気に入らなかった。女は○○になれば、何でも通用する?
光石さんの演技は好きだし(相変わらず良かった。素晴らしい。)、キャスティングに申し分なし。篠原さんも『恋人たち』からインパクトありの演技で良い。テレビドラマより映画にもっと力を入れてもらいたい。
大震災で、家族の繋がり、恋人同士の繋がり、夫婦の繋がりそして男と女の繋がりの希薄になってしまった点を具に描かれていた。特に、大震災が起きたことが、ただの天災でなく人災にまで昇華させてしまうことの悲惨さが身に染みた。
63歳の監督には、これからも人の心を揺さぶる作品をもっともっと残してほしい。
苦しいけどちゃんと今を生きる
それぞれきっかけはあるにせよ、自分たちで気付き少しでも前進するために動き出すことが出来て良かったのかな。ただやはり被災地は今も色んな方面で苦しんでいる人が多いんだと改めて感じました。
それぞれ悩みを抱えていて、被災者同士でも程度の違いがあってそこで起こる対立もあり、いつの間にか加害者扱いをされる人もいる。除染作業をされている隣人の旦那さんが私たちが悪いんですかねーという一言が印象的でした。
デリヘルのところはとにかく模写がリアル。しかも時間も結構長く撮り方やアングルもAV目線のようで驚きました。結局なぜ彼女がデリヘル嬢をやっているのかは語られませんでしたが、待機室や車の中で見せる表情を見ていると彼女にとっては現実を忘れ自分らしくいられる居場所だったのかなと感じました。
みゆきを演じられた滝内公美さん、虚無感、喪失感等の感情を見事に表現されていたように感じます。とにかく裸のシーンが多いし、それ以上にデリヘル嬢という役柄がしっかり描かれている為、際どすぎる模写ばかりですが本当に体当りで素晴らしかったです。脇を固める方々が安定感のある方ばかりなのもよかった。
東京の学生が卒論の研究材料として取材するシーン。まるで感情を無視したかのような聞き方、会話している内容も一般的なものばかりなのにそれをメモってるシーンがバカっぽすぎてイラッとしちゃいました。それぐらい内側から見たらバカにした関わり方をしている人がいるという抽象でしょうか。
最後に風俗嬢に対する態度がひどい人が多いですよね。結局2人目で出てきた客も最後に過去の風俗嬢を軽視した発言もありましたし。風俗嬢の方にちゃんと感謝出来る人がたくさんいて欲しいです。
まだ終わっていない。
主人公は、市役所に勤務し、休日にはバスで東京に行き、デリヘル嬢として働く女性です。母は津波に流され行方不明で、父の本業は農業ですが、避難しているということもあり、仕事をせず賠償金でパチンコをする日々を送っています。この映画を観終わって、真っ先に思ったことは、まだ東日本大震災の復興が終わっていないということです。
元彼が主人公に言います。「友人が津波で流されて、遺体で見つかった。」主人公は言います。「まだ遺体が見つかっただけでも良かったじゃない。」
また、別のシーンでは、父は海の中にいるであろう妻を案じて、「寒いだろう」と言いながら、涙を流し、服を海に投げ込みます。この映画の中で一番悲しかったシーンです。一刻も早く行方不明となっている方が見つかり、遺族のみなさんに安心して欲しいと思いました。今も行方不明者の数は、2,554人います。(3/11現在、警察庁調べ)
映画の中では、自宅に帰るにも、短時間の許可を受けて避難区域の中に入るシーンがありました。その家に辿り着くと、部屋の中も荒れ果てており、掃除をする時間も十分取れないため、荒れることに任せています。放射能の悪い影響が早くなくなって欲しいと思いました。現在、約93,000人の人が自分の家で生活できずに、暮らしています。(6/16現在、復興庁調べ)
また、ある日、主人公が父に「いい加減にしてよ、賠償金すべてパチンコで使ってしまう気。」と言いました。被災したことで、生活のリズムが狂い、希望を失っている人もいるのかと思いました。主人公も自分を取り戻すためもがいているシーンが多くありました。東日本大震災から6年が経過し、被災した地域から離れて住んでいる私は、日々、東日本大震災で避難している方を目にすることがありませんので、記憶が薄れてしまっていました。東日本大震災で被害に遭われた地域が復興するまでは忘れてはいけないと思いました。
今回の映画は復興がまだ終わっていないということを認識させてくれる素晴らしい映画でした。東日本大震災の被災者だけでなく、最近の九州豪雨の被災者に至るまで、全ての被災者が希望を失わずに生活していけることをお祈りしています。
拙文をお読みいただきありがとうございました。
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