悪と仮面のルールのレビュー・感想・評価
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たくさんあるけど何もないみたいな
同じ原作者の映画「去年の冬、きみと別れ」が面白かったので、それと似たような面白い仕掛けのあるミステリーで主人公のサイコパス的な部分も垣間見れるサスペンスなのではないかと期待していた。
色々とぐちゃぐちゃに伏線めいたものがあり、物語もあれやこれやと多方面に展開していくが、肝心のというか一番期待していた、いわゆるトリックのようなものはなく「去年の冬、きみと別れ」とはかなり毛色の違う作品だなと感じたのが第一印象。
しかしよくよく考えてみると「去年の~」も本作も愛と憎しみについての物語であり、実は似たような系統の作品であったと気付いた。
とはいえ、系統が同じでも面白さも同じとは限らない。本作のダメなところは多岐にわたり、もうほとんど全てが悪かったようにすら思う。
これを言ったら作品自体が成り立たなくなるかもしれないけれど、悪の家系?がよくわからん。遺伝によって悪の一族が出来上がるならまだ納得できるけど教育により悪に染めるのは、その理由も意味もわからない。
しまいには悪の一族であることにちょっと悩んじゃったりして中途半端。まあ多分本当は悪意とまともな人間性の間で揺れる苦悩を堪能する作品なのだろうけど、その圧倒的描写不足によりただ意味のわからないものになった。
なんだか勿体ない、つまらない作品です。
ひとりの女性の為に
嫌な雰囲気を期待して鑑賞。この手の映画は暗い終わり方をするんだろうなと思って観ていたが、意外にも泣けてくるラストでよかった。切なすぎる殺人者は、これからどのように生きていくのだろうかと、あとは鑑賞した人の考えに任せます、といった感じ。
普通に感動した。
原作どおり(第一印象は要メリハリ。
135分の映画です。120分を超える映画に対してはどうしても「テンポ」とか「メリハリ」とか「冗長性」とかに目が行ってしまいます。そしてこの映画も、見るうちに「冗長」と感じてしまいました。物語が動かないシーンを映画に入れるということは、監督はそれで雰囲気とかいろいろなことを鑑賞者に伝えようとしているのは分るのですが。映画観終わってから感じたのは、「この映画、120分か110分ぐらいにまとめたら、もっとテンポよくてもっと面白くかんじたんじゃないか」ということでした。
二人の子役は良かった。若い主人公役も、若いヒロイン役も。蒼い恋愛している感じが良く出ていました。
最後の主人公の涙はないなーと思いました。彼女は泣いても良いけど、主人公は「泣きたいけども涙は見せられないから(必死に)淡々と話す」べきかと。そんなシーンは難しいし、安易に主人公を泣かせて無難にしたのかもと思いますが、玉木にはそんなシーンにチャレンジしてもらいたかった。
原作も読んでみようと思いました。
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その後、原作を読んでみました。そうかー。原作からこのような主人公なんだな。原作を読むと、この映画の主人公像は原作どおりだということがわかります。邪にさせられようとしたが邪になりきれず、香織に告白(嘘)するところでは泣いてしまう主人公は原作どおりなのでした。原作で感じなかった違和感が映画で感じてしまうということは、映画からは「邪になりきれず苦しんでいる」主人公の感じが私には受け取れず、ってところなんでしょう。2時間15分じゃ足りないのか。映画では吉岡恭子はほぼカットで時短してるんですが、主人公のあがきとか抵抗とかもっと描く必要があったのか? 原作を読んで思ったのは、監督は良くやったと思うしこの映画は原作キラーな映画ではないです。うん。なので評価修正しました。
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